【「独身の日」が激変】 中国EC市場が転換期か/アリババなど大手ECプラットフォームの成長鈍化(2022年11月17日号)

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タオバオライブの様子

タオバオライブの様子

 中国最大のショッピングイベント「独身の日(11月11日)」の様相が、今年は激変している。例年ならばこの時期、「過去最高の伸び」「大幅な市場拡大」といった、景気の良い見出しが紙面を賑わす。しかし今年は、アリババやジンドンといった、中国の大手ECプラットフォームを運営する企業が、毎年公開していた流通総額を初めて非公開にした。アリババは前年比で横ばいの実績だったことを公表。ジンドンは「新記録達成」と発表しているものの、毎年、当たり前のように過去最高を更新してきたことを考えると、”今更感”は否めない。微増を「新記録達成」と表現している可能性もある。中国経済の拡大とともに成長を続けてきた、W11特有の「お祭り」のような華々しさは、今年は影を潜めた。中国EC市場が転換期を迎えつつあるようだ。

 アリババグループは10月24日~11月11日、中国EC最大のショッピングイベント「天猫ダブルイレブン・ショッピングフェスティバル」を開催した。今年で14回目となる同イベントは、「独身の日」「W11(ダブルイレブン)」と称される。
 昨年公開された、同2社のW11の流通総額は、8894億元(○約15兆8313億円)だった。今年も、それを上回るGMVを記録したと推測できる。中国EC市場が、依然として巨大なマーケットであることには違いない。


■アリババ4時間で20億

 アリババは、「昨年に引けをとらない流通総額(GMV)を記録した」と発表した。アリババの21年のW11のGMVは、前年比8・5%増の5403億元(約9兆6173億円)だった。今年も同等の流通総額を記録したようだ。
 W11の予約販売開始から、わずか4時間で、130以上の事業者が、1億元(約20億円)以上の売り上げを記録したことも発表している。
 ただ、アリババのW11がこれまで急成長を続けてきたことを考えあわせると、「前年並み」という状況の深刻さが伝わってくる。アリババでは、「前年並み」となった要因として「コロナの影響」などを挙げている。
 そんな中ではあるが、動画コマースなどは賑わいを見せたようだ。
 アリババでは、ECプラットフォーム「タオバオ(淘宝)」のライブコマースチャネル「タオバオライブ(淘宝直播)チャンネル」を運営している。 
 タオバオライブは、「タオバオ」や、ECモール「Tモール(天猫)」のアプリ内に組み込まれている。W11中には、3億人以上の消費者がタオバオライブでライブコマースを視聴したそうだ。
 予約販売開始後1時間のタオバオライブにおける再生回数は、昨年同期と比較して600%増加したという。
 62個のライブコマースチャンネルで、1億元(約20億円)を超える売り上げを達成したという。632個のライブコマースチャンネルが1000万元(約2億円)以上の売り上げを挙げたとしている。
 アリババによると、今年のW11で人気となったのは、コロナにおける、「巣ごもり需要」や「健康意識の高まり」を背景にした商品だったという。越境ECの分野において人気を集めた商品カテゴリーは、未病・予防ヘルスケアやエイジングケア関連だったという。サプリメントなどの売れ行きが好調だったそうだ。「腸活ブーム」を追い風に、日本の乳飲料メーカーのプロバイオティクス商品も、中国消費市場で人気となったという。


■人気商品の背景にコロナ禍

 アリババによると、特に成長したジャンルは、

(続きは、「日本流通産業新聞」11月17日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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