タンスのゲン 22年7月期/通販売上高243億円/値上げの影響で成長は鈍化(2022年8月4日号)

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 家具・家電EC大手のタンスのゲン(本社福岡県、橋爪福寿代表)の22年7月期における、国内ECを主体とした通販売上高は、前期比7.4%増の243億9000万円となった。近年の巣ごもり需要の拡大により、増収を維持した。一方、製造原価や輸送コスト増加に伴い商品価格を値上げした影響を受け、成長は鈍化している。
 「上期(21年8月―22年1月期)と、下期(22年2―7月期)で明暗が分かれた1年だった。好調だった上期から一転、下期以降は原価高騰により、商品の値上げをせざるを得ない状況に追い込まれた」(橋爪裕和常務取締役)と言う。
 段階的な商品価格値上げによるモール内での競争力低下などを、下期に売り上げが減退した要因として上げる。
 「前半戦の貯金で何とか増収を維持した状況だ」(同)と話す。
 商材では、大型家具や寝具などが引き続き売り上げをけん引した。エアコンの施工が間に合わないユーザーに向けたスポットクーラーの販売など、猛暑の影響による季節家電の販売も好調だったという。
 インフルエンサーとのコラボレーション家具など、独自性のある商品もブランドの知名度向上や新規顧客開拓につながっているという。
 「原価高や円安の影響もあり、商品企画は現状のマーケットに則した価格で販売できるよう大幅な見直しを行っている。安価かつ高付加価値商品の開発は引き続き注力点となる」(同)と話す。
 近年は、自社サイトの機能拡張やスマホアプリの活用によって、ロイヤルカスタマーの育成に注力している。
 「スマホアプリユーザーの継続購入率は、他チャネルと比較して際立って高い。アプリ内での商品先行販売や独自コンテンツの提供を通じて利用者を拡大させていく」(プロジェクト開発室)と言う。
 7月15日に同社は、EC事業創業20周年を迎えた。
 「足元での円安が続くこともあり、今期(23年7月期)はかなり厳しい戦いが予測される。増収増益を大目標に、当社で強みである商品力をさらに磨き込みをかけ、お客さまに選ばれるお店作りに尽力していく」(橋爪常務)と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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