ヤング・リビング・ジャパン・インク/県庁で研究成果を発表/産学官で地場産業へ貢献 (2022年4月7日号)

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研究成果を話す山野氏

研究成果を話す山野氏

 ヤング・リビング・ジャパン・インク(本社東京都、中川利光支社長)は3月31日、同社の100%子会社である天然資源研究開発センター(本社沖縄県、中川利光社長)を通じて、沖縄に生息する「月桃(げっとう)」の研究成果を沖縄県庁で発表した。
 月桃の研究は、産学官で連携し進められているプロジェクト。沖縄の月桃を用いて事業化させつつ、地場産業の発展と新たな雇用を生むことに貢献していく。
 会見では、天然資源開発センターの共同代表でもある禹済泰(ウ・ゼテ)氏と山野亜紀研究員、沖縄工業高等専門学校の藏屋英介氏、琉球大学の照屋俊明氏の4人が発表を行った。
 月桃の研究成果については、(1)月桃のエッセンシャルオイルには、マクロファージにおける炎症因子(NO及びIL―6)産生を抑制する効果があることを見出した(2)既存株と比べて花に6・3倍、葉に2・6倍のエッセンシャルオイルを含有する優良株を見出した(3)乾燥月桃は、長寿成分カワイン化合物(DK/DDK)高純度粉末製造法で量産の検証を終えた─ことを発表した。
 今後は、月桃を用いたエッセンシャルオイルの製造販売に着手する。最終的には、沖縄ファームで作られた月桃のエッセンシャルオイルを、国内のみならず、グローバルで展開していく計画もあるという。
 地域産業の振興を推進するため、22年度は南北大東島との連携でタイリン月桃の製造を行い、23年度には、大宜味村に確保した約3万9600平方メートルの土地のうち、約1万平方メートルでシマ月桃を栽培していく計画だ。蒸留施設や品質管理実験室、体験施設、宿泊施設なども併設する予定で、生産されたエッセンシャルオイルを商品化して国内外に提供していく。
 他にも、タイリン月桃やシマ月桃の葉と花の蒸留残渣から、カワイン化合物(DK/DDK)の高純度粉末を製造して、長寿サプリメントの原料として国内外の市場に提供する。また、フローラル水などの生産も視野に入れているという。追加が必要となる月桃の原料などは、将来的に農家と連携して確保していく予定だという。
 今回発表した月桃の研究は、産学官連携推進ネットワーク形成事業の一環として行われているプロジェクト。沖縄の産業界発展に取り組む沖縄TLO(本社沖縄県、玉城昇社長)を主体に、企業と大学などが連携して産業の発展に取り組んでいる。また、沖縄工業高等専門学校の藏屋氏が進めている沖縄の月桃の研究成果は、海外でも事例がないため、欧州を中心に世界から注目が集まっている。

今後の取り組みについて話す禹氏(写真左)

今後の取り組みについて話す禹氏(写真左)

今後の生産計画も発表

今後の生産計画も発表

発表に参加した沖縄工業高等専門学校の藏屋英介氏

発表に参加した沖縄工業高等専門学校の藏屋英介氏

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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