スタートアップEC、SNSで成果続々/「定期解約率が10%以下に」「ワンオペECで年商1億円」など/「専門家とつながっている」がメリットに (2022年3月24日号)

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バイオフィリアでは会報誌にインスタグラムの写真を掲載

バイオフィリアでは会報誌にインスタグラムの写真を掲載

 ECのスタートアップ企業が、SNS上での展開を、業績の維持・拡大につなげるケースが増えている。ドッグフードを販売するPETOKOTO(ペトコト)は、顧客に対しSNSで細かいフォローを実施した結果、定期購入の解約率が10%以下という低水準で推移。21年9月度の月商が、前年同月比で8倍に伸びるなど急成長を遂げている。ダイエットコーヒーをECで販売するモノリスは、LINE(ライン)での対応を強化したところ、安定的に新規顧客を獲得できるようになった。社長のワンオペ状態だが、ラインのともだちは2万人を超えており、3期連続で年商1億円を達成している。”完全食”を販売するベースフードでは、サブスク会員向けのコミュニティーをウェブ上で立ち上げたところ、サブスクの解約率が下がったという。SNSは、使い方を間違えると、炎上する恐れもある諸刃の剣。うまい活用法を身に付けることが、通販・EC企業にとって、成功の鍵といえそうだ。

■対応は「仲間」目線で

 知名度がないECのスタートアップ企業が、SNSのフォロワーを増やすのは至難の業。EC企業のSNSのフォロワー数が少ないと、?逆宣伝?にもなりかねない。
 そんな中、20年にインスタグラムのアカウントを開設したばかりのペトコト(本社東京都)では、インスタグラムで、すでに3万3000人を超えるフォロワーを獲得している。「ペトコトのタグのついた発信には全て返信をする」という地道な取り組みがフォロワーの拡大につながっているという。
 「返信は『企業として』ではなく『飼い主仲間』の目線で行うようにしている」(大久保泰介社長)と話す。インスタグラムでは、ドッグフードに関する悩みだけでなく、獣医療やトリミング、シャンプーなど、愛犬に関するあらゆる悩みが寄せられる。同社では、可能な限り、寄せられる悩みのすべてに対応するようにしている。同社の顧客であるかないかは関係ないのだという。
 そうした取り組みを繰り返してきた結果、「飼い主にとって役立つメディア」として認知されるようになり、フォローする人が増えているという。「フォロワーから購入につながるケースが非常に多い。多額の広告費をかけなくても、日々のSNSの発信で新規顧客が増えている」(同)と話す。同社では21年9月に、累計販売数が500万食を突破した。21年9月度の月間売上高は、前年同月比700%増になったという。
 フレッシュドッグフード「ココグルメ」を販売するバイオフィリア(本社東京都)は21年3月から、インスタグラムの運用を本格化した。現在のフォロワー数は1万人にまで伸びてきている。同社も「『ココグルメ』のタグがついた投稿には全て対応している」(広報部 松村昴氏)と言う。「現在は月1000件程」(同)だそうだ。
 バイオフィリアでは、商品の発送時に、月替わりの会報誌を同封している。「会報誌の表紙には、インスタで、ココグルメのタグをつけてくれた写真を載せている。最近では、『表紙に載りたいから投稿する』というケースも増えており、SNSと会報誌が相乗効果を生んでいる」(同)と話す。


■「専門性」が強力な武器

 企業アカウントのフォロワー数を増やす上で武器になるのが、「専門性の高さ」だ。社内の知識豊富な専門家に、SNSで直接情報を発信させることにより、フォロワーを増やしている企業がある。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月24日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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