ユナイテッドアローズ/自社ECを3月に刷新/基本性能向上、OMO基盤を視野 (2022年2月10日号)

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 ユナイテッドアローズは2月4日、自社ECサイト「ユナイテッドアローズオンラインストア」を3月上旬にリニューアルすると発表した。まずは基本性能の向上を図り、将来的にはOMO(ネットとリアルの融合)の基盤として機能させる計画だ。
 新サイトでは基本機能の改善を図る。サイトの表示速度や検索性能を高めたり、カート投入から決済までのステップを短縮したりすることで、ユーザビリティーを向上する。スタッフコンテンツの拡充や顧客レビューの追加で、購入の参考になる情報も増やす。セキュリティーレベルも高める計画だ。
 スマホアプリでニュースや特集記事、スタッフスタイリング、ブログなどのコンテンツを読めるだけでなく、コミュニケーションツールしても進化させる。バーコード機能で店頭にある商品情報を確認したり、保存できたりもする。
 リニューアルではサイト上だけでなく、サービス面の強化も図る。ECサイトでもオリジナル梱包資材を活用し、店頭品質の梱包を実現する。物流センターの在庫の引き当てによる最短配送対応商品の拡大も図る。店頭試着予約サービスを再開したり、置き配サービスへ対応したり、返品手続きも簡便化したりする。
 フルフィルメント拠点を自社物流センター内に設置する。これまで自社EC業務の委託先であるZOZOの倉庫に自社ECサイト用の在庫をまとめて保管していたが、今後は自社物流センターのフリー在庫が自社ECサイトに引き当てられるようにする。
 これにより在庫の奥行きが広がり、販売機会ロスを低下させる。今後、実店舗も絡めたOMO施策を予定しており、実店舗への在庫配分の適正化も含めた在庫運用の効率化を図る。
 コスト構造の改善については、SaaSサービスの活用で開発投資金額を抑制している。システム保守費用など一部コストの固定費化を図り、従来の変動費モデルから運営コストを低減させる。
 今回の取り組みは実店舗の売り上げ増にも寄与するため、厳密な費用対効果の算出は難しいが、自社ECサイトの売り上げや利益だけで初期投資の回収が2~3年で完了する計画だ。現在の運営体制からの収益性改善は2年後を想定している。
 現段階ではECサイトの基本機能を新しい仕組みに置き換え、安定的に運用することを第一としているため、実店舗も絡めたOMO施策まではカバーしていない。今後も継続的に開発投資を行い、実店舗のデジタル化も進めながらOMO施策を開始し、自社ECサイトのサービスレベルを実店舗に近づけていく方針だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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