〈フレッシュドッグフード通販市場〉 700%増の成長企業も/22年新たなスタンダードに (2022年1月27日号)

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フレッシュドッグフードは冷凍が主流となっている

フレッシュドッグフードは冷凍が主流となっている

 近年、フレッシュドッグフード通販市場の成長が著しい。20年2月にフレッシュドッグフードのサブスク事業を開始したPETOKOTO(ペトコト)は、21年9月までの1年8カ月で、累計販売食数が500万食を突破。21年9月度の月間売上高は、前年同月比で700%増になったという。22年1月現在で、累計販売食数は900万食を目前にしているという。19年からフレッシュドッグフード「ココグルメ」の販売を行っているバイオフィリアは、21年中に累計販売食数が650万食を突破。21年には、商品を生産するOEM会社の数を増やし、増産体制を整えた。コロナ禍でペット需要が高まり、ペットの?家族化?が進んだことが、高付加価値なフレッシュドッグフードの需要の急拡大につながっているようだ。ペットの健康や長生きを図るために、「より安心・安全な食事をさせたい」「人間に近い食事をさせたい」と願う愛犬家が増えている。フレッシュドッグフードは、今後の新たなスタンダードになりそうだ。

 フレッシュドッグフードは一般的なドライフードと違い、水分を多く含んでいるのが特徴だ。肉や野菜を細かくした後に加熱して製造する。冷凍の状態で届き、常温や湯せんで解凍する商品が一般的となっている。
 水分が少なく食べづらいドライフードと比べ、食いつきが良いことが多い。食事での水分補給もできる。
 量販店などで販売されているドライフードは1キログラム当たり1000円前後なのに対し、フレッシュドッグフードは5000円前後の商品が主流だ。いわゆるプレミアムドッグフードの中でも高価格帯の商品となっている。


■継続率95%の企業も

 フレッシュドッグフードの多くは、冷凍の状態で製造し、届けられる。ドライフードをメインで扱っていたドッグフードメーカーは、新たに設備投資を行う必要が出てくる。まだまだドライフードに比べるとシェアは大きくない。製造のノウハウがまだ十分に蓄積されていないこともあり、フレッシュドッグフードの取り扱いは現在のところ、スタートアップ企業が中心となっている。
 現在、ドッグフードの販路は、ペットショップやホームセンターが主流だ。ただ、これらの売り場は、冷凍設備を備えているケースが少なく、フレッシュドッグフードの売り場を確保しにくいという課題があった。そのため現在は、通販・ECでの販売が非常に多くなっている。
 「毎日食べる」というドッグフードの特性上、定期購入との相性が良いことも、ECでの流通が増える一因となっている。PETOKOTO(本社東京都)は、ECでの販売を、定期購入のみに限定している。20年2月のサービス開始以降、解約率は常に10%を下回っており、契約数は伸び続けているという。
 「ココグルメ」を展開するバイオフィリア(本社東京都)のECでは、定期購入販売だけでなく、単品での販売も行っている。ただ、定期購入の利用者が9割を超えており、継続率は95%に達しているという。
 解約の主な理由においても、「品質」に問題があったケースはほとんどないとしている。「冷凍であるため保管場所が難しい」「価格が高い」といったことを解約の理由に挙げるケースが多いようだ。


■今後の参入増加に懸念も

 市場は拡大しているものの、今後の新規参入の増加を懸念する声も上がるようになっている。

「ココグルメ」の製造の様子

「ココグルメ」の製造の様子

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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