【エクネス 平井康之代表取締役CEO】 <規格外野菜のサブスク「ロスヘル」を展開> 廃棄野菜200万トンを削減するビジネス

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 規格外野菜の定期通販「ロスヘル」を展開するエクネス(本社福井県)は22年12月、(一社)日本サブスクリプションビジネス振興会(所在地東京都)が主催する「日本サブスクリプションビジネス大賞」の特別賞を受賞した。「ロスヘル」は、規格外の野菜を、市場価格よりも30%程度安い価格で、契約者に毎月1回定期配送するサービスだ。22年5月にサービスを開始した「ロスヘル」は、半年の間に3000件の定期顧客を獲得するなど、順調に事業を拡大させている。エクネスの平井康之社長に、「ロスヘル」の事業を始めたきっかけと、事業内容について、話を聞いた。

■米国の規格外野菜のD2Cに感銘

 ─「ロスヘル」の事業を始めたきっかけを教えてください。
 もともと、高校生の頃から、自然環境保護にとても興味がありました。サラリーマン時代には、「会社がもうかればいい」という考えに、とても違和感を持っていました。企業をを立ち上げ、別の事業を運営していた時期も、「社会貢献できるビジネスがしたい」と、常に考えていました。
 実際に「ロスヘル」の事業を思いついたのは、21年4月ごろです。米国のECサイトの「Misfits Market(ミスフィット・マーケット)」に関する記事を読んだのがきっかけでした。「ミスフィット・マーケット」は、見た目の問題で市場に出荷できない野菜を農家から買い取り、定価の4割引きで、D2Cで販売するサービスです。
 ニュースを読んだときに、「日本でも、課題やニーズがあるのではないか。この課題が解決できれば、社会貢献につながるのではないか」と考えました。
 それが、「ロスヘル」のサービスを始めたきっかけです。


200万トンの廃棄野菜

 ─今まで野菜や食品に関するサービスをしていたのですか。
 野菜についても食品についても、完全な素人でした。実際にサービスインするまでには、多くのハードルがありました。
 まず、規格外野菜の廃棄の問題について調べたところ、国内だけで年間200万トンの廃棄野菜があることが分かりました。これは、国内の年間の排気ガスの排出量と同じ量に当たります。
 廃棄野菜は、生育過程では、通常の野菜と同じく、肥料や水を使います。廃棄する際は、そのまま畑で廃棄するケースもありますが、トラックに積んで運び、焼却するケースがほとんどです。
 廃棄野菜を買い取って販売することで、CO2の排出削減に大きく貢献できると考えました。
 まずは、規格外野菜の買い取り先を探すところからスタートしました。手始めに、近所の農家や、地元福井県の大きな農家などから当たってみたのですが、「規格外野菜は知り合いに配ったりするので、野菜は余っていない」と言われることがほとんどでした。福井県はコメ農家が多く、野菜農家が多くないことも初めて知りました。

(続きは、「日本ネット経済新聞」1月26日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ