【丸山珈琲 丸山健太郎代表取締役社長】 〈創業30周年、喫茶店店主からスタート〉スペシャルティコーヒーのブームに乗りビジネス拡大

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 スペシャルティコーヒーの卸・販売を行う丸山珈琲(本社長野県、丸山健太郎社長)は21年4月25日、創業30周年を迎えた。91年に軽井沢の一つの喫茶店から始まった同社は、現在では、EC運営から卸、複数のカフェ運営まで、多岐にわたる事業を運営するに至っている。スペシャルティコーヒーの先駆け企業とも言われ、スペシャルティコーヒー業界を代表する存在になっている。事業を始めたきっかけから、今後のコーヒー業界の展望までを、丸山社長に聞いた。

■珈琲の魅力にはまり

 ─創業の経緯について教えてください。
 事業を始める前は、いわゆるプータローで、アルバイトをしながら、翻訳を学ぶため通信制の学校に通っていました。「英語で食べていきたい」という思いはあったのですが、なかなか仕事がありませんでした。そんなときに、妻の両親から「運営するペンションが休業中なので、代わりにやってみないか」と言われ、ペンションの運営を始めました。初めは、カレーやチャイなども提供していたのですが、徐々にコーヒーの魅力にはまり、コーヒーが中心の店になっていきました。「本格的にコーヒーで仕事をしたい」と考え、焙煎機を買い、91年4月に丸山珈琲を創業しました。
 当時は、コーヒー1杯350円のお店でした。軽井沢という立地だったので、400~500円でもいいのではという声もあったのですが、「味は周りより上、価格は周りより下」で運営すれば2段階の差別化ができるという考えもあり、安い価格設定にしてしまっていました。喫茶店の日商は1万円を超えたら高いと思える程でした。初年度の年商は260万円程だったと思います。
 ─小規模な喫茶店から現在の多角的な事業展開へと変わった転機について教えてください。
 最初の10年間くらいは、コーヒーの自家焙煎店として地道に営業していました。「こだわりのコーヒー屋のおにいちゃん」といった感じで、ビジネス的な思考もありませんでした。
 ビジネス的な思考をするようになったのは、00年くらいにスペシャルティコーヒーが米国で話題になっていることを聞いたときでした。それまでコーヒーの品質は不透明な部分も多く、コーヒーというだけで品質は求められないことも多かったと思います。

(続きは、「日本ネット経済新聞」5月20日号で)

〈プロフィール〉
丸山健太郎(まるやま・けんたろう)氏
 1968年生まれ、91年に丸山珈琲を創業。日本のスペシャルティコーヒーの第一人者と言われ、過去にはスペシャルティコーヒー協会の会長も務めた。コロナ以前は、海外のコーヒー産地を巡ることも多かった。1年の半分以上を海外で過ごすこともあったという。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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