【バロックジャパンリミテッド EC事業部 田村英紀事業部長】 〈EC売上77億円に〉フリー在庫のEC活用で欠品率低下

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む

 衣料品販売のバロックジャパンリミテッドの20年2月期のEC売上高は、前期比1.8%減の77億8700万円だった。店舗とECのフリー在庫の活用、同社が提供するアプリ「SHEL’TTERPASS(シェルターパス)」の登録増加などで下半期は盛り返したものの減収となった。4月23日には、余剰在庫の活用とコーディネートを目的としたプラットフォーム「AUNE(アウネ)」を新設している。20年2月期の取り組み、プラットフォーム開設の狙い、新型コロナウイルス感染拡大の影響などについて、EC事業部の田村英紀事業部長に聞いた。

■EC専用ブランドが伸長

 ─20年2月期の業績について教えてください。
 20年2月期のEC売上高は前期比1.8%減の77億8700万円となりました。ECは上半期に苦戦を強いられました。19年2月期は、歌手の安室奈美恵さんが着たコートがECサイトでヒットして大幅な増収となりました。
 20年2月期の上半期は、そのコートに代わる目玉商品が打ち出せず、思うように業績を伸ばすことができませんでした。下半期以降、当社全体でECの強化を行いました。主力ブランドの「AZUL by moussy(アズールバイマウジー)」以外にも、「スタイルミキサー」のようなEC専用のブランドを立ち上げ、販売を強化したことで巻き返しました。
 ─どんな販売強化を行ったのですか。
 下半期から、当社が提供するアプリ「シェルターパス」を活用した販売施策を強化してきました。展開している全17ブランドの垣根をなくして、商品情報を約150万人の会員に配信し、売り上げの底上げに努めました。前期に、約50万人の新規顧客が「シェルターパス」に登録しました。これにより登録数は50万人に達しました。買い物に利用できるポイント還元キャンペーンや販促などを定期的に実施し、店舗からECサイトに顧客の流入を増やしました。他にも、アプリで顧客が楽しめるようなおみくじ企画や、プッシュ通知の強化も行い、会員登録を後押ししました。
 昨年8月からは、倉庫のフリー在庫を店舗とECで連携させました。在庫が切れそうなブランドや商品を供給し続け、欠品率を大幅に下げました。「ゾゾタウン」の販売に関しては、倉庫に残っている在庫の受注を強化し、機会損失をなくすことができました。
 ECサイトで販売している商品の店頭決済も19年12月からできるようになりました。店舗で商品を試着した顧客がECサイトで購入し、店舗で決済しています。店舗からECサイトへの顧客の誘導を増やし、EC売り上げの回復につなげました。

(続きは、「日本ネット経済新聞」6月4日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ