【富澤商店 富澤淳 社長】18年8月期30億円を見込む/クオカ事業買収でオムニチャネル推進

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
富澤淳 社長

富澤淳 社長

 お菓子作りの材料や資材を販売する富澤商店(本社東京都、富澤淳社長)は17年9月1日付で、同じく菓子製材をECで販売するクオカプランニング(クオカ)から、ECを含む、菓子製材の販売事業を買収した。富澤商店と重複しない、クオカの顧客層を取り込むのが狙いの一つ。さらに、クオカの持つ、企画力豊かな人材を得ることにより、実店舗との連携を図りつつ、食品材料のEC事業の強化を進める考えだ。クオカの17年6月期のEC売上高は約8億円。クオカの買収を起爆剤として、富澤商店では18年8月期のEC売上高を30億円まで高めたいという。富澤商店は従来、店販を中心に菓子製材の販売を行っていたが、15年にECを販路の主体とする、現在の経営方針に転換した。17年8月期のEC売上高は、15億円の着地を見込んでいる。富澤商店の富澤淳社長にクオカプランニング買収の経緯と、今後の事業戦略について話を聞いた。


■クオカの企画力と提案力を生かす

 ーーークオカを買収した経緯について教えて下さい。

 クオカの事業を譲り受けたのは、クオカブランドの持つ、企画力と提案力の高さに魅力を感じたからです。クオカは、実店舗での実演販売を行ったり、クッキングスタジオと実店舗・ECサイトをうまく連携させたりといった、顧客をコンバージョンに結び付ける〝提案力〟に強みを持っており、当社としてはそこに以前から注目していました。また、ほぼ日とコラボしたミックス粉を開発するなど、商品の〝企画力〟にも魅力を感じていました。
 そういった力がありながら、クオカの売り上げが伸び悩んでいるという話を、17年1月ごろに耳にしました。クオカのブランドを生かしつつ、当社の事業として面白いことがやれるのではないかと考え、クオカに話を持ち掛けたところ、事業譲渡という形で話がまとまったというわけです。
 当社はもともと、オリジナルの小麦粉などの菓子製材を、直営店での店販を主な販路として販売していました。2010年以降の、国内のEC市場の伸び率の高さを見て、15年に、本格的にECを強化する方針に転換しました。
 ありがたいことに、店舗販売で、当社の「トミズ」ブランドのファンになってくださったお客さまの多くが、ECサイトも利用してくれるようになってきています。その証拠に、当社のEC売り上げのほとんどが、自社ドメインのECサイトでの販売によるものなのです。17年8月期の当社のEC売上高は約15億円の着地を予想していますが、自社サイトでの売り上げはそのうち85%に当たる約13億円になりそうです。20~40代の比較的若い層が当社ブランドのファンになってくれていると考えています。
 クオカも、おおよそ同じ年代の顧客層が多いですが、販売する商品のイメージが富澤商店と異なるため、重なっている顧客は少ないと思っています。それぞれのブランドの特色を生かして、それぞれのブランドのファンを醸成していきたいと考えています。ただ、中長期的には、両ブランドを統合することも考えています。

■ブランドの裏側は富澤商店に一本化
 ーーーそれぞれのブランドについて、どのような運営を行っていくのですか。

(続きは、「日本ネット経済新聞」9月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ