スマートフォン(スマホ)アプリの収益化支援や決済代行事業を手掛けるメタップス(本社東京都、佐藤航陽社長)は、スマホアプリを使ったEC市場の拡大を想定した支援サービスを強化している。14年春からは決済代行のSPIKE(スパイク)事業も開始し、EC支援の幅を広げている。佐藤社長にスマホアプリの市場動向や今後の事業展開について聞いた。
世界の膨大なデータを保有
─スマホアプリから収益を上げている会社はどれくらいいるのですか。
統計では月間50万円以上を売り上げているアプリは全体の1%ほどです。98%以上のアプリが、課金や広告収入などの売上高が月間50万円以下です。
─収益化が難しいのはなぜですか。
インターネットが始まった当初と同じで、収益化するノウハウがなく、各社とも試行錯誤を繰り返している状況です。当社はどうすれば収益化できるのかをサポートしています。売り上げを上げるために広告か課金のどちらにすべきか、どうマーケティングすれば安くユーザーを獲得できるか、全てアドバイスしています。
─どのような支援事例がありますか。
今まではゲームアプリなどが多かったですが、最近はCtoCの物販アプリの支援事例も増えています。また、今までキュレーションサービスを展開していた会社がコマースの会社と組んで、タイムラインに乗っているニュースから直接商品を買えるようにするための支援も始めています。アプリへの集客とユーザーのロイヤル化のほか、広告主とアプリに広告を載せて収益を図りたい事業者をつなげるのが当社の主な支援内容です。
─アプリの分析と市場のトレンドを知るためのデータはどこから集めてきていますか。
世界中のアプリの過去3年分のランキングやレビューを調査して膨大なデータを保有している会社を買収して、当社のサービスに活用しています。このほか、導入社に自社のユーザーがどう動いているのかを分析するツールを配布しています。このツールの結果は導入社が管理画面から簡単に見られるようになっています。
アプリのEC市場は拡大
─最近、アプリを宣伝するテレビCMが増えています。
今まではテレビCMからPCに移行させるのは難しかったが、スマホだとテレビを見た瞬間に手に持っているので効果が非常に高くなってきています。各社からはテレビCMの効果がすごく高いと聞いています。
─物販のアプリも今後活性化するのでしょうか。
物販アプリの支援も増えています。スマホからのアクセスは現在、8割がアプリ、2割がブラウザーになっています。消費者はアプリを使ってネットにつながっているので、ブラウザーだけを使っているECサイトは今後対応が必要になってくると思います。ベンチャー企業ではPCサイトを作らない事例も増えてきています。今後はファッションなどから徐々にこういう流れが強まるのではないでしょうか。大多数のスマホユーザーが使っているLINEもPCを使わない人向けに作られたサービスだと思います。メールアドレスを登録させなかったり、電話番号だけで登録が完了するというように、どこまでPCのカルチャーを捨てられるかがカギとなってくると考えています。
─物販とゲームなどのコンテンツアプリでは、支援方法は違うのですか。
ECもゲームも、着地点はユーザーの課金、つまり決済がコンバージョンの目標にあるので、ノウハウはよく似ています。今後はアプリのEC市場も大きくなってくるので、それぞれのノウハウを転用できるようにすることを課題として取り組んでいます。
(続きは本紙12月11日号で)
〈決済代行事業開始でEC支援の幅も拡大〉メタップス 佐藤航陽社長/スマホアプリの収益化支援で日本一へ
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。