産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデン(本社東京都、秋元里奈社長)は、登録ユーザー数100万人、登録生産者が1万軒に達するなど、業容拡大を続けている。生鮮品のCtoC事業に加えて、24年11月からは冷凍総菜や野菜の定期便、ギフトECにも進出して新たな成長に向かっている。24年の振り返りと25年の事業の方向性や見通しについて、秋元社長に聞いた。
─24年は振り返ってどんな1年でしたか。
登録ユーザー100万人、登録生産者は1万軒を突破するなど順調に成長できた年でした。これまで仕込んでいたことがスタートできた年でもあります。「食べチョク」では、希少品種も多く取り扱っていることから、野菜の品種に焦点を当てる取り組みとして、イチゴや桃などの品評会の実施、書籍の販売、24年11月には冷凍総菜や野菜の定期便、ギフトECといった在庫を持つビジネスに初めてチャレンジしています。「食べチョク」の流通を伸ばしつつ、ネット以外の接点づくりにも力を注いできました。
─食品については「タイパ」「物価高」がキーワードになった年です。
「食べチョク」のユーザーは比較的年齢が高く、時間にゆとりがある人が多いので、物価高の影響を受けることはありませんでした。逆に食品スーパーの野菜が値上がりしていることで「値段は高くても直送で少しでも新鮮な野菜を買いたい」といった投稿をSNSで見かけるようになりました。
台風や地震などに起因してコメが不足した24年夏の「令和の米騒動」をきっかけに、新米が値上がりしています。24年8月には当社のコメの流通量は前年同期の10倍を記録しました。最近では、「これだけ高いのであればいいものを買いたい」と、生産者から直接購入する動きが高まっています。厳選した生産者から異なる品種の新米が3カ月間届く「新米リレー定期便2024」も好調です。
この騒動で感じたのは、コメは食品スーパーで購入するものと考えている消費者が多いことでした。当社にも生産者にも在庫は十分にありましたが、店頭に在庫がない状況が、どこにもコメがないという認識につながっていることが分かりました。地方には店頭に並んでいるのに、都市部では在庫がなくなった状況を見ても、地方と都市部とのつながり、さらには生産者と直接つながることの意義を感じました。
─コメの価格は今も上がっている印象があります。
(続きは、「日本ネット経済新聞」1月16日号で)
<プロフィール>
秋元里奈氏
神奈川県相模原市の野菜農家に生まれる。慶応大理工学部卒、13年にDeNA入社。一次産業分野の課題に直面し、16年11月に「株式会社ビビッドガーデン」を設立。17年8月に生産者が集うオンライン直売所「食べチョク」を開設した。開始3年で認知度・利用率トップの産直通販サイトに成長した。
ニュース・情報番組のコメンテーター、内閣府「規制改革推進会議」専門委員、農林水産省「GI学識経験者委員」、世界経済フォーラム「Young Global Leaders」なども務める。
【ビビッドガーデン 秋元里奈社長】 <登録ユーザー数100万人突破>ユーザーのニーズに合わせ複数のサービスを展開(2025年1月16日号)
記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。