近年、レコードECの成長が著しい。HMVを展開するローソンエンターテインメント(本社東京都)では、新品レコードのEC売り上げが16年以降、毎年2桁成長で推移しているのだという。タワーレコードでは、19年から21年にかけて、ECのレコード売り上げが2倍以上になったとしている。15年頃から再燃し始めたレコードブームは、コロナ禍の在宅時間の増加で一気に火が付いたようだ。コロナ以前は、インバウンド需要も高かったというレコード。コロナ以降は、ECによる海外向けの販売が急増しているという。配信やサブスクが主流になり、ますます「CDが売れない時代」になっていく中で、レコードが販売店舗の救世主になっていくかもしれない。
■16年以降安定した成長
HMVを展開するローソンエンターテインメントでは16年以降、新品レコードのEC売り上げが2桁成長を続けている。21年には前期比60%の増収と大きく売り上げを伸ばした。「リリースが増えていることが、増収の大きな要因」(ローソンエンターテインメントrecord shop営業部部長竹野智博氏)と話す。
(一社)日本レコード協会によると、アナログレコードの生産量は、09年に10万2000枚まで減少したが、14年以降は増加傾向が続いている。17年に106万3000枚だった、レコードの生産量が、21年には190万7000枚まで増加した。
17年には、ソニーミュージックグループのソニーDADCジャパンが、約29年ぶりにレコードの生産を開始。今後も生産数の増加が予想される。
97年からCDやレコードのECサイトを運営しているタワーレコード(本社東京都)のリテール事業本部オンラインMD企画・運営部の藤川祐介部長は、「レコードの潮目が変わったのは、20~21年。19年に比べると、売り上げが2倍強になっている」と言う。「昨年は宇多田ヒカル、今年は山下達郎といった具合に、人気アーティストによる、レコードのリリースが続いている。当社では、レコードの在庫を増やすため、今年倉庫のスペースを3倍に増やした」とも話す。
■中古は海外需要が拡大
「日本の中古レコードは、海外のものと比べて品質が高く、海外でも人気が高い」(竹野氏)と話す。コロナ前は、日本に中古レコードを買いにくる外国人観光客も多かったという。「洋楽の”日本版”の人気が高い。山下達郎、竹内まりやといったシティーポップも人気だ。コロナ以降は、ECでの海外向けの販売が増えている。ECでの販売のうち、10~20%が海外向けとなっている」(同)と言う。
(続きは、「日本ネット経済新聞」11月3日号で)
【レコードEC】 タワレコは売上が倍増/海外顧客が日本で洋楽を買う時代に(2022年11月3日号)
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