訪問販売協会世界連盟/デジタルと対面の融合が課題に/世界大会を初のオンラインで開催(2021年10月21日号)

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基調講演を行うWFDSAのロジャー・バーネット会長

基調講演を行うWFDSAのロジャー・バーネット会長

 日本など62カ国・地域の訪問販売協会で構成する、訪問販売協会世界連盟(WFDSA、事務局米国)は10月6日から2日間にわたり、3年に1度開催する世界大会を初めてオンラインで行った。主催国のタイがコーディネートし、今回初めてディストリビューターの参加も受け付けた。各国の訪販協に加盟する訪問販売およびネットワークビジネス企業261社、ディストリビューターなど49か国・地域から1273人が参加した。

 世界大会では、今後のネットワークビジネスの方向性について(1)オンラインで種をまきオフラインで関係性を深める形が有効であること(2)ライフスタイルや人生観を発信する、利他的なマイクロインフルエンサーになることによるコミュニティー作りが先決(3)コミュニティーに集まった消費者が、自発的に商品購入やビジネス参加に関心を持ち、マイクロインフルエンサーに問い合わせてくる形の「アトラクションマーケティング」の活用が必須─など、デジタルを活用することが成功の秘訣とする主張がなされた。
 タイのマハー・チャクリ・シリントーン王女のあいさつで始まった会議の冒頭で、WFDSAエグゼクティブ・ディレクターのタムナ・ガビナイア氏が訪問販売の世界市場について「1790億ドルの売り上げと1億2500万人が従事するビジネスになっている」ことを報告した。


■バーネット会長が基調講演

 WFDSAのロジャー・バーネット会長(シャクリー・グローバルグループCEО)が基調講演を行った。
 バーネット会長は「利他的な意識で人間関係を構築することが重要だ。SNSとEコマースをいかに結合させるかが今後の課題になる。ビジネスに参加する1億2500万人の大半は女性である。
 100年以上の歴史のあるネットワークビジネス業界にとって、ソーシャルコマース(SNSなどのソーシャルメディアとEコマースを組み合わせて商品販売するチャネル)の展開を進めると同時に、デジタルと対面を融合させる仕組作りが大切だ」と話した。


■パネルディスカッションも開催

 基調講演の後、「ネットワークビジネスという産業の再創造、再構築、再定義」をテーマにネットワークビジネス企業のCEOによるパネルディスカッションをバーネット会長の司会で行った。
 ニュースキン・エンタープライズのライアン・ナピアスキーCEОは「デジタルファーストの時代になっても、共感がネットワークビジネスのベースであることは変わらない。オフラインで培った信頼性と信ぴょう性を確立するビジネスモデルを、デジタルの分野にも展開していくことが重要。信頼性と信ぴょう性を相手に提供することは、あらゆる販売方法の根本である」とした。
 他のパネルディスカッション「ネットワークビジネス業界に影響を与える消費者動向」では、ハーバライフ・インターナショナルのバイスプレジデント、ティム・サンソン氏が業界の現状を報告。「世界のネットワークビジネスでは、販売員が4.3%増加して1億2000万人から1億2500万人になった。フルタイムメンバーも通常より3倍の増加率だった。副業にする人も9%増加した。新たな収入源が欲しい人が増えている。特に30歳以下のZ世代のビジネス参加が9%増加した。この層は5年間で5%増加している。その結果、1億2500万人の従事者の30%は35歳以下になった。ちなみに、1億2500万人のビジネスメンバー以外に、プリファードカスタマー(愛用者)が3000万人いる」と説明した。
 さらに、パネルディスカッション「ネットワークビジネスのデジタル化と将来」では、フォーライフリサーチのダナ・フォーチュン氏が「ライフスタイルや付加価値を提供して自分に興味を持ってもらい、消費者から連絡してもらう、アトラクションマーケティングに則って活動すべきだ」とした。
 続くパネルディスカッション「今の世界で収入を求める人をいかにひきつけるか」では、ニュースキン・エンタープライズでエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるコニー・タン氏が「何足の草鞋も履ける、賢くて恐れを知らないのがZ世代など若い世代だ。今は産業革命以来の変革期で、ユーチューブやホットキャストなど自分で発信できる時代が到来した。人と文化に惹かれて人は集う。惹かれるものがなければ人は去る。マインドシェア(心を占める割合)の争いが起こっている。ファンがたくさんできると顧客化につながる」と語った。
 次回23年のWFDSA世界大会は23年にドバイで開催する計画だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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