熊本地震 無店舗企業にも甚大な被害/再春館など営業停止

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
えがおは本社1階のホールを開放、250人を超える一般避難者を受け入れた

えがおは本社1階のホールを開放、250人を超える一般避難者を受け入れた

 熊本地震による影響は、現地に本社や営業拠点を持つ通販・訪販といった無店舗企業にも甚大な被害を与えている。被災した熊本・益城町に本社がある再春館製薬所は4月15日以降、営業を停止。4月18日現在、復旧のめどは立っていない。ゴマの製造・販売を手掛けるオニザキコーポレーション(本社熊本市)も地震発生後、通販事業は中止している。水の宅配を手掛けているウォーターダイレクトは、ボトルウォーターの製造先である南阿蘇の提携工場が被災。同工場で製造している水の供給を中止して代替品を届けている。営業活動が滞る中、再春館や健康食品通販のえがお(本社熊本市)などは自社の施設を開放、被災者への支援活動を行っている。

【社員の心身ケア優先】
 再春館の本社がある益城町は4月14日に発生した震度7の地震の震源地。14日の地震発生後、1000人以上の従業員の安否を確認し全員無事だった。しかし、翌15日の深夜に発生した本震後、再度従業員の安否確認を行っている。県外から通勤している従業員には、地元に帰宅するように促したためだ。
 窓ガラスが割れるなどの被害はあったものの、建物や施設自体に深刻な影響は発生していない。ただ4月20日現在、工場、コールセンター、物流とも停止状態が続いている。従業員の心身ケアを優先しているためだ。
 19日に投稿された同社のフェイスブックによると、「現在、一日も早い復旧に向けて、被害状況の確認を行い、再開に向け整備を進めているところです。社員の心身面のケアを最優先したうえで、準備が整い次第、稼働再開して参ります」とコメントしている。
 オニザキコーポレーションは18日現在、法人向けの卸は行っているが、子会社のオニザキコーポレーションセールスによる個人向け通販事業は中止している。法人向け原材料の確保を優先しているためだ。役員によると「通販再開に向けて準備していきたい」と話している。
 健康茶や特産品の通販を展開している村田園(本社熊本県菊池郡)では、工場が大きな被害を受けたという。18日時点で再稼働できるか確認している最中だったが、倉庫も被害を受けており材料が取り出せない状況となっている。
 キューサイ(本社福岡市)は熊本市内の業者に委託しているコールセンターと倉庫が被災したという。コールセンターは従業員の安全確保を優先して全機能を停止。18日以降、従業員の出勤状況を確認しながら順次稼働を始めるという。委託倉庫は冷凍荷物が倒壊した影響で出荷できない状況が続いている。復旧の見通しは立っておらず、別の手段で出庫対応を行っている。

【サロン店舗が被災】
 南阿蘇の提携工場が被災したウォーターダイレクトは、同工場で製造している「阿蘇のお水」の供給を中止した。工場やスタッフに被害はなかったものの、停電や幹線道路が通行止めとなっているためだ。同製品を購入している顧客には、別の水源地によるボトルウォーターを同じ価格で届けている。
 化粧品のサロン販売を行っているシーボンは、熊本市内にある直営サロン2店舗(熊本下通り店・熊本健軍店)が被災した。18日時点で被害は軽微となっているが、従業員の安全確保を優先し、19日も営業を見合わせている。

(続きは「日本流通産業新聞」4月21日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ