【物流2024年問題】 事業者の3割が時間超過/長距離輸送の鍵は「空」と「海」(2023年7月20日号)

  • 定期購読する
  • 業界データ購入
  • デジタル版で読む
意見交換会の様子

意見交換会の様子

 ドライバーの労働時間規制により、荷物が運べなくなると言われている「物流の2024年問題」。政府は「政策パッケージ」を公表、消費者庁が意見交換会を実施するなど、2024年問題への対策に向けた動きが活発化している。意見交換会に参加した全日本トラック協会が物流事業者を対象に実施したアンケートの調査結果によると、年間の時間外労働時間が上限である960時間を超えている事業者は、約3割となっていた。中小事業者の中には、長距離輸送をやめる事業者も少なからず出てきているという。佐川急便やヤマト運輸は、フェリーや飛行機を使った幹線輸送の新たな取り組みを進めている。今後は陸路以外を活用して長距離輸送を行うケースも増えていきそうだ。

■「送料無料」見直しへ

 政府は6月2日、「物流革新に向けた政策パッケージ」をまとめ、発表した。「送料無料」表示の見直しや、再配達率の半減に向けた政策などを盛り込んでいる。
 「物流の2024年問題」の改善策は、(1)商慣行の見直し(2)物流の効率化(3)荷主・消費者の行動変容─の三つの側面から策定している。
 運送契約に着目した「商慣行の見直し」についてはガイドラインを示すという。大手の荷主企業・物流事業者が、「自主行動計画」を作成。正当な対価の収受を促進するとしている。
 ガイドラインの遵守状況については、23年度末に調査を行い、結果を公表するとしている。
 「送料無料」表示については、消費者庁が6月23日に、意見交換会を実施した。意見交換会には、8台のテレビカメラが来るなど、注目度の高さが伺える。
 意見交換会では、全日本トラック協会の馬渡雅敏副会長が、「送料無料」表示についての現状について話した。同氏は運送業界の主張として、「送料は運送の対価であり無料ではない」「物価高騰による価格転嫁には、消費者の理解が必要」「輸送にはコストがかからないという間違った考えを植え付ける」とし、「送料無料の表現はやめてもらいたい」と主張。「当社にて負担」「別途負担いただく」など、送料がかかっていることが分かる表現に統一すべきと話した。
 意見交換会の反響について全日本トラック協会は、「テレビカメラの数も多く、会の当日から反響の大きさを予想していた。一通り報道が出たあとは、否定的な意見をもらうこともあった」と言う。
 「『送料無料』の表示は、広告的な側面も強い。その打ち出しができなくなることによって、売り上げの減少が懸念される通販企業などは、後ろ向きになっているかもしれない」(同)とも話す。

(続きは、「日本流通産業新聞」7月20日号で)

「送料無料」表示が論点に

「送料無料」表示が論点に

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

Page Topへ