多くのEC事業者が新規顧客の獲得に課題を感じている中、着実に成果を上げている新興コスメ企業がある。わきがに特化したクリームなどを展開するYomite(ヨミテ)は、商品特性や自社の現状を踏まえ、新規獲得だけに振り切ることで、200%の売上成長を実現しようとしている。ヘアケアを中心としたブランド「SILK THE RICH(シルクザリッチ)」を展開するザ・リッチは、株主の影響力を背景にウェブ広告に依存しないマーケティングを展開し、国内外での販売を拡大している。化粧品ブランドを展開するHello Venus(ハロービーナス)は、SNSの共感型の広告が奏功し、売り上げを飛躍的に伸ばしている。3社ともに商品力にこだわるだけではなく、独自の戦略で新規顧客獲得に手応えを感じているという。
■ニッチ市場で成長
Yomite(本社東京都、望月亮佑代表)の25年1―12月の売上高は、前年比約200%で着地する見込みだという。わきが対策クリーム「プルーストクリーム」を主軸に、ハーブピーリングの化粧品「on:myskin(オンマイスキン)」などをオンラインで展開し、売り上げを伸ばしている。
「プルーストクリーム」は一般的なデオドラント商品とは異なり、わきがの深刻な悩みを抱える人向けに作られている。オンライン販売に特化することを前提で企画しているため、ニッチな市場に向けた尖った商品を開発できたという。今後はペットやベビー用品など、さらに多様な商品を展開する計画だ。
■リピートにこだわらない
同社の強みは内製化しているマーケティングチームだ。約40人の組織でありながら、社員の半数がマーケティング担当だという。
「数字や顧客のリアルな声を通して、どんな人が何を喜んでくれているか、頭と心で理解するためにインハウスのマーケティングは重要。さらに、一人一人が当事者意識を持って商品の開発に当たるようになる。開発者の当事者意識が、商品の質に直結する」(望月代表)と語る。
リピーターを獲得するための施策は、特に実施していないという。
「オンラインにおいて、数字に反映されるまで人の心を動かすのは決して簡単ではない。一般的に企業は、費用と時間を投下して利益に反映されるから、CRM施策や継続施策を行うが、当社はそれが得意ではなく、費用対効果が見合わない。オンラインの限界もあるし、若い組織なので実力が未熟というのもある」(同)と現状を話す。
自社の状況を理解し、現状で不得手な領域ではあえて勝負せず、得意な領域にリソースを割いている。
(続きは、「日本流通産業新聞」11月27日号で)
【新興コスメの新規獲得術】脱CRMで200%成長/”尖った魅力”伝えるマーケが奏功(2025年11月27日号)
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