【食品宅配・ネットスーパー】 生鮮系宅配の競争が激化/新規顧客との接点確保を強化へ(2023年8月3日号)

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 コロナ禍における消費者の需要を追い風にして増収が相次いだ食品宅配業界が23年に入り苦戦している。コロナ禍前の水準を超えている企業はあるものの、22年の市場の減速で、多くは反動の形となっている。各社は20年以降に取り込んだ新規顧客の囲い込みと、今後の新規客獲得に向けた方策が急務だが、ネットスーパーの台頭も向かい風となっている。コロナ禍でネットスーパーの利用が消費者に定着。イオングループも7月からセンター型のネットスーパー「グリーンビーンズ」を開始している。日本生活協同組合では、デジタル対応を加速して、若年層の開拓に本腰を入れ始めた。オイシックス・ラ・大地では、保育園や幼稚園への食材の提供を本格化した。一過性ではなく、日常的な買い物を促す仕組みの構築を目指している。コロナ後を迎えた生鮮系の食品宅配業界やネットスーパーの動きをまとめた。

■ミールキット、生鮮宅配は苦戦

 生鮮系食品宅配では、販売員(配送員)の確保や、食材の仕入れや燃料のコスト増が懸念材料となっている。こうした課題に加え、コロナ禍が落ち着いて消費者の外出機会が増えたことが、業績にも表れている。
 ヨシケイのフランチャイジー、オーシャンシステムの23年3月期における食材宅配事業の売上高は前期比3.2%減だった。外食需要の回復に伴い新規顧客の獲得は伸び悩んだほか、ミールキットの売り上げはコロナ禍前に約10年続いていた漸減傾向に戻ってきたという。「消費者の生活習慣の変化に加え、営業社員(配達員)の確保が難しく、営業力が低下し続けていることが要因」(IR)と説明する。
 オイシックス・ラ・大地が展開する食品宅配2ブランドもコロナ収束の反動を受けた。大地を守る会の23年3月期の売上高は前期比7%減、らでぃっしゅぼーやは前期比3%減とそれぞれマイナスとなった。
 こうした傾向は生協でも同様だ。日本生活協同組合連合会(日生協、本部東京都)の23年3月期における宅配事業供給高は前期比0.9%減。購入単価は上昇したものの、値上げの影響もあり利用点数が減少した。


■生協は若年層の開拓に本腰

 日生協では、組合員の高齢化も大きな課題となっている。生協が18年度に調査した「全国生協組合員意識調査」によると、主力の組合員は60代で、若年層の開拓が急務になっている。


(続きは、「日本流通産業新聞」8月3日号で)

生鮮品の販売を強化

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