【食品通販・食品宅配市場 最新動向分析】 コロナ後の購入変化に対応/時短、冷凍、食品ロスが軸に(2022年10月13日号)

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楽彩は東京・北千住のマルイに「冷蔵ロッカー」を設置

楽彩は東京・北千住のマルイに「冷蔵ロッカー」を設置

 食品通販・食品宅配による無店舗販売食品市場は、コロナ禍の需要が落ち着く中で、食品の買い方の変化に対応しようとする動きが活発だ。ECやネットスーパーでは、ピックアップ型の受け取り方法が増えたほか、冷凍食品の取り扱いが拡大した。一方で、食品宅配はコロナ需要の反動が鮮明だ。日本生活協同組合連合会(本部東京都)の22年3月期の宅配事業の供給高(売上高)は前期比0.8%減。20年3月期の2桁増収から減収に転じた。食品EC業界ではクイックコマースや出前などが台頭し、企業間で「消費者の時間」の奪い合いが激しくなっている。ミールキットは、ここ数年でバズワード化するなど注目は高い。アフターコロナを見据えた無店舗食品企業の最新動向を探る。

【■生鮮品宅配・EC】 ミールキットの利用拡大

 生鮮品ECは、ミールキット市場が活況だ。数年前から、共働き世帯を中心に、家事の時間を短くする商品として、食品宅配、食品スーパー、生協、EC事業者が取り扱いを開始。今年4月には、ドイツ・ベルリンが発祥のミールキットブランド「HelloFresh」が日本に進出。フードロスの観点からも注目されており、賞味期限の長い冷凍のミールキットも増えている。
 生鮮系ECで先行するのがオイシックス・ラ・大地。「Oisix」のミールキットは依然として販売が好調で、食品宅配「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」と合わせた3ブランド合計の22年3月期における売上高は892億1000万円となり、この市場をけん引している。
 産直品のCtoCも根付きつつある。産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデン(本社東京都)はサブスクリプションを強化している。10月13日にはサブスクシリーズに肉と魚の定期便「食べチョクごちそう便」を加えた。「おうちで外食気分が味わえる逸品食材」をコンセプトに、ハレの日の需要を取り込む。
 主力事業となった食品宅配事業に力を注ぐのがワタミ。既存の弁当・総菜宅配に加え、若年層に対するミールキットの販売を強化しており、今年2月に投入した「パクモグ」はすでに20万食を突破した。販売網「まごころスタッフ」が強みになっているようだ。
 著名人などが薦める飲食店のメニューが購入できるECサイト「GOOD EAT CLUB」を運営するグッドイートカンパニー(本社東京都)は21年7月にサービスを開始して以降、会員数が1年で6倍のペースで急成長している。
 シャープが手掛けるミールキットを中心とした食品EC「ヘルシオデリ」は、会員数が開始から約5年で7万人を突破した。シャープは今年2月に、冷凍のメニューを毎月届ける「ヘルシオデリ定期便」(ホットクック用)を導入して販路を拡大している。
 ネットスーパーでは、イオンが毎年20%増収のペースで推移しているほか、ライフコーポレーションの売り上げも急増している。サミットは今年10月から、約8年ぶりとなるネットスーパーを東京都世田谷区の一部で再開した。サミットは今回からセンター型ではなく、店舗出荷型で挑む。


【■冷凍食品市場】 健康、高級路線で差別化

 通販・ECを中心に冷凍食品の市場が広がりを見せている。従来は健康に配慮したシニア向け弁当や総菜が中心だったが、コロナを機に幅広い年齢層に利用が広がった。時短ニーズの高まりも後押しする。

(続きは、「日本流通産業新聞」10月13日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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