【2022年の市場展望】 資材調達難の影響大きく/中国からの原料費高騰も (2022年1月13日号)

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 2022年の無店舗販売市場は、資材調達難の影響を大きく受けそうだ。原油高・コンテナ不足・人員不足・半導体不足などさまざまな要因で、多岐にわたる商材について、資材不足や価格高騰が生じている。すでに2~3倍に価格が高騰している原料があるほか、受注が入っているにも関わらず数カ月先まで入荷が期待できない出てきている。一部の部品がないため、商品が作れないといった事態も生まれている。

 深刻な資材不足に襲われているのは、例えば住設業界だ。半導体不足などの影響があり、太陽光発電パネルや給湯器といった商品の供給が追い付かない状態が生まれている。受注があっても納品・施工ができない状態に陥っている事業者も少なくない。「モノがない」状態が事業者の死活問題にもつながっている。
 半導体不足は、家電やパソコンの供給難や価格高騰にもつながっている。
 「海外からの資材が思うように入ってこない」というのは多くの業界に共通する問題。コンテナ不足や、世界的な人員不足も影響しているようだ。コンテナ不足により、船便の料金が3~4倍に上昇しているケースもあるという。
 自転車などでは、一部のパーツやフレームが足りないという理由で、商品の製造ができない状況も生まれている。自転車については、コロナ禍で需要が世界的に拡大しているという側面もあるようだ。


■食品でも深刻化 仕入れ値2~3倍

 調達難は、食品でも深刻だ。例えば、コーヒーでは、ブラジルでの収穫量の減少もあり、輸送コストの上昇とのダブルパンチ状態だという。商品によっては、原料の仕入れ値が2~3倍になっているケースもあるという。
 カニや魚が取れないことも、食品販売会社の仕入れの難しさにつながっている。例えば、ズワイガニについては、「21年の水揚げ量が、20年比で4割減になった」と嘆く事業者もいるという。仕入れ価格は倍以上になったということだ。
 健康食品についても、原材料の価格高騰が始まっている。包材に使うアルミの価格や、アルミパウチの接着剤として使用する資材の価格なども高騰しており、早晩最終製品の価格にも影響を与えそうだ。
 ある健康食品のOEM事業者は、「資材・原材料の価格が高騰してきているため、売値に反映したいが、既存製品ではそれも難しい。新規受注の製品から、高騰する価格を反映していくしかない」と話している。


■広範囲で資材の値上げも予想

 EC向けの梱包資材について、コスト削減につながる提案を行うshizai(シザイ、本社東京都)では、「22年は商品ジャンルに関わらず、広範囲で資材の値上げが予想される」(サプライチェーン責任者・岡本大祐氏)と話す。中でも特に、「中国から調達する原料」と「段ボール」が値上がりしそうだという。中国からの原料費の値上げの主な要因は、原油価格と、中国の人件費の高騰だという。「今後は為替の影響も考えられる」(同)と話す。
 同社では、資材のコストカットを実現しながら、消費者の「購買体験」の質を維持できるような提案を行っているという。
 一方、ネットショップのコンサルティングを手掛けるいろは(本社千葉県)の竹内謙礼社長は、原料や資材価格の高騰について「22年夏ごろに落ち着くのでは」との見通しを示している。ただ、「物によっては、実際にかかる原料・資材のコストが下がらない可能性もある」としており、「下がらないことを覚悟して経営戦略を立てるべきだ」と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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