【通販・通教・EC 2021年 売上高ランキング】 〈上位503社売上高調査〉合計売上高は10兆円超に/コロナバブルを反映、実質伸び率18%増 (2022年1月1日新年特大号)

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 日本流通産業新聞が21年12月に集計した「通信販売・通信教育売上高調査〈冬季〉」によると、上位503社の合計売上高は10兆4033億200万円だった。冬季調査で合計売上高が10兆円を超えたのは初めて。前年実績と比較可能な191社で算出した実質伸び率は前年比9.7ポイント増の18.0%増となった。コロナ禍の巣ごもり需要拡大を受け、大きく売上高を伸ばした通販企業が伸び率の拡大をけん引している。ただ、決算期によっては、コロナ禍の反動で伸び率が低下している企業もある。

■モールは大きな存在感

 1位のアマゾン(日本事業)の売上高は、米アマゾン・ドットコムの20年12月期における日本事業の売上高204億6100万ドルに対して、20年の平均為替レート(1ドル=105.82円)で円換算して掲載した。マーケットプレイス出品手数料や、有料会員サービスの年会費、各種ウェブサービスの売上高を含んでいる。
 アマゾンはマーケットプレイスも展開しているが、「楽天市場」や「ヤフーショッピング」なども流通総額を大きく伸ばしている。「楽天市場」は20年の流通総額で3兆円を突破したことを明らかにしているが、今期(21年12月期)は5兆円を目標に高い成長を遂げているという。
 コロナ禍に大手ECモールの存在感は、さらに増したといえる。


■実店舗客の送客成功

 実店舗を展開する小売企業の増収も目立つ。5位のヨドバシカメラが前期比60.3%増、14位のユニクロが同17.9%増、26位のニトリが同59.2%増になった。ヨドバシカメラやニトリは、通販売上高10億円以上の企業の増収率トップ20にも入っている。コロナ禍で実店舗顧客にEC利用を促す施策を強化したことが、高い成長につながっている。
 アパレル大手はコロナ禍に、店舗スタッフによるコーディネート画像の投稿やライブコマースなどを積極的に展開し、EC売り上げ拡大につなげた。34位のアダストリアは同23.4%増、オンワードホールディングスは同26.0%増になっている。22年以降も、スタッフという実店舗の「人」を活用したEC活性化策はさらに進みそうだ。


■増収率1位はケーキEC

 増収率ランキングで1位になったCake.jp(ケーキジェーピー)は、全国の菓子店と連携し、冷凍ケーキをネット販売している。コロナ禍で菓子店も実店舗で販売しにくい状況がある中、参加店舗やユーザー数を伸ばしている。現在、加盟店舗数は1500店を超え、会員登録しているユーザー数は70万人を超えている。
 増収率2位になったファーマフーズは、健康食品や化粧品の通販を展開している。テレビやネットなどさまざまなチャネルを駆使し、精力的なプロモーションを展開したことで、売り上げ規模が大きいにもかかわらず、同293.2%増という高い成長を遂げている。
 増収率ランキング1位のケーキジェーピーに加えて、3位の食文化、6位のオールアバウトライフマーケティング、8位のケイシイシイは食品がメインの通販企業だ。
 全体のランキングで19位に入ったオイシックス・ラ・大地も同40.9%増となり、売上高は1000億円の大台を超えている。コロナ禍で食品通販企業が伸びた傾向にあることを示している。


■大手通販は伸び悩み

 大手通販企業の一部は売り上げが伸び悩んでいる。カタログやテレビなど既存の販売チャネルが強い分、デジタルシフトに遅れが出ているといえそうだ。実店舗を持つ小売企業が、リアルの強みをECに生かしているように、大手通販企業の強みをデジタルでも発揮できるのか、22年は勝負の年となりそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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