【ファッションEC売上高ランキング発表】 OMO先行企業の成長顕著/実店舗顧客のEC利用が加速 (2021年11月25日号)

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 本紙の姉妹紙「日本ネット経済新聞」が「ファッションEC売上高ランキングTOP120」を発表した。本紙では上位50位までのランキングを紹介する。ランキングでは、1位のユニクロをはじめ、全国に実店舗を展開する企業が上位を占めた。先行して実店舗とECサイトの会員基盤や商品データ、サービスを統合している大手企業が、コロナ禍にOMO(ネットとリアルの融合)をさらに進めた結果が実績に表れている。

 ユニクロはスマホアプリを基盤に、実店舗とECサイトの相互利用を促進している。今年10月には、スマホ注文から最短2時間で店舗受け取りができるサービス「ORDER & PICK(オーダー・アンド・ピック)」の提供を開始した。
 ECサイトのコンテンツ拡充にも注力している。昨年12月には商品や着こなしの情報をライブ配信する「LIVE STATION(ライブステーション)」を開始した。商品詳細ページでは商品画像だけでなく、自動再生される動画を掲載する取り組みも実施している。
 今年4月、「UNIQLO CITY TOKYO(有明本部)」に、日本最大級の撮影スタジオを新設した。情報製造小売業をうたう同社だからこそ、商品の特徴を的確に伝えるための設備を内製化し、発信力を高めている。


■OMO型店舗を展開

 アダストリアは販売スタッフの接客力を生かしたOMOサービスを強化している。販売スタッフのコーディネート画像や動画を積極的に配信し、EC売上高の向上につなげている。
 さらに、OMO型店舗「ドットエスティストア」を業界でも先駆けて出店した。今年5月、東京と千葉に出店し、12月3日には大阪に新設する。この店舗では、ECサイトのようにグループの展開ブランドを横断的に閲覧できるようにする。
 さらにサイネージやデジタルミラーで、ECサイトのコンテンツを紹介したり、パーソナルスタイリングを提案したりする。OMO型店舗にECサイトへの投稿でも人気の高い販売スタッフを配置するなど、スタッフのOMO化も進めている。


■コンテンツ争奪戦も

 ファッションECモール大手の「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を展開するZOZOも、OMOサービスの提供を本格化している。「ZOZOTOWN」で出店ブランドの実店舗在庫を表示したり、販売スタッフのコンテンツを配信したりする。
 今後は自社サイトとECモール間で、商品在庫だけでなく、スタッフのコーディネート画像などのコンテンツにおいても奪い合いが進みそうだ。ブランドはコンテンツの配信チャネルの最適化を検討する必要があるだろう。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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