東京都〈消費生活計画改定〉 外部の専門人材を積極活用/相談にAI導入も検討(2021年9月23日号)

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 東京都は令和5年度から施行される5カ年の「東京都消費生活基本計画」の改定に向けて議論を進めている。このほど開催した「第26次東京都消費生活対策審議会・第2回検討部会」で、計画の方向性を議論した。ネット関連の消費者トラブルを未然に防ぐため、デジタルやDXに詳しい外部の人材を積極的に活用するほか、ネット通販やネット広告に関する消費者トラブルに対する相談にAI(人工知能)を導入することなどを検討する。11月中旬に中間とりまとめを行い、22年2月開催の総会で答申を行う。

■ネット関連の対応を強化

 ネット通販による消費者被害の増加を踏まえて対応を強化する。代金を支払っても商品が送付されない、事業者と連絡が取れないといった詐欺的通販サイトや定期購入商法のほか、トイレのつまりや鍵の修理などで高額な請求をしたり、火災保険を利用すれば無料で屋根工事ができるなどと勧誘する訪問販売についても問題視している。
 課題として、インターネット、デジタルコンテンツなど調査手法に関する職員の知識や経験の不足を挙げた。計画案ではインターネットやデジタルコンテンツに詳しい外部人材から助言を得る機会を確保するほか、取引指導担当の体制強化、消費者庁や他県との調査手法などの情報共有(連携の強化)を盛り込んだ。
 広告表示についても、DX技術や広告業界の動向に専門性を持つ人材を活用するほか、継続的にネット広告の監視ができる体制の構築を目指す。
 事業者のコンプライアンス意識の向上を目的に、講習会も継続的に実施する。令和2年度は、東京商工会議所や(一社)全国直販流通協会といった業界団体と連携し、オンライン講習会を開催。消費者被害の防止の観点から業界団体との連携をさらに深める考えだ。


■消費生活相談体制の強化

 東京都消費生活総合センターの相談体制も強化していく。新たなサービスや取引形態などについて、アドバイザーなどによる専門分野の拡大と研修を実施。相談員の専門的な相談に対する処理能力を向上させる。商品テスト機関との連携を深め、高度な技術的知見が必要な相談にも対応する。あっせんが困難で専門的知見が解決に必要な案件については、「消費者被害救済委員会」を積極的に活用する。
 区市町村とは「情報連絡会」を毎月開催するほか、「消費生活相談支援サイト」の掲示板機能の活用で、区市町村が必要とする情報の迅速な発信・情報共有を徹底する。
 契約トラブルを抱えていても相談しない消費者が情報収集して問題解決を図れるようにAIを活用する。「よくある相談」のチャットボットなどの開発や運用、全国的なシステム展開の早期実現に向けて国に積極的な働きかけを行うことも計画案に盛り込んだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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