〈訪販アンケート調査〉 売上高伸長が半数以上/デジタル活用も根付く(2021年8月19日号)

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 本紙はこのほど、訪販部門の売上高をアンケート調査するとともに、今後の売り上げ予測、現状の施策についても、各社から回答を得た。売上高調査における対象期間は、20年4月―21年3月の間に迎えた決算期。
 売上高調査では、20年度の売り上げについて、25社中14社が「伸びた」と回答している。また、今後の売り上げ予測では、25社中16社が「伸びる」と見込んでいることがわかった。
 今後の売上高が伸びると回答した企業の中で、ネットワークビジネス(NB)を展開するモデーアジャパン(本社東京都)は、「健康食品や化粧品、洗剤類については必需品。製品別の増減はあると予測するが、全体的には大きく変わらないと予測する」とした。日本シャクリー(本社東京都)は「キャンペーンの強化、旗艦製品のリステージングによる増加が見込まれる」と回答。ニナファームジャポン(本社東京都)は「NBにおける対面応対での利点を生かしつつ、ズームなどのデジタルを融合。新しいスタイルを確立させて、バランスよく両立させたところが大きく伸びる」と予測している。
 家庭訪販のアサンテは「在宅時間が増え、家のメンテナンスに意識が向きやすくなっている。持ち家志向が高まっていることなどから、住宅メンテナンス関連サービスの需要は高まると考えられる」との見方を示した。ヤクルト本社は「外出自粛が前年より緩和されることで自販機での売り上げが戻る」と回答。シャルレも「コロナ2年目に入り、対応の仕方を学習している。ある程度の活動量増加に繋がり、売り上げは伸びるものと考えている。ワクチン接種が進むことによって、外出機会が増え、巣ごもりでない個人消費が増えると予想している」と、各社とも業績回復の見通しを立てている。
 新型コロナのワクチン接種の進捗状況や、在宅需要、社会情勢の変化を考慮しながら、情勢に応じた施策や取り組みで、業績が上向くと予測する企業が多いことが分かった。


■課題は非対面の影響

 コロナ禍の収束が見通せない中、共通して課題と感じているのは「非対面」に関することだった。「接客がしづらくなった」「接客機会の減少」「非対面における営業活動の模索」「セミナーや説明会の抑制」「手渡しができない」「継続への動機付け」など、業態によって内容は異なるものの、共通しているのは非対面による影響が鮮明となっている。
 他にも「原材料の調達や製造の遅れ、航空便などの減便の影響」と回答する内容もあり、サプライチェーンの寸断の影響を受けたところもあった。
 訪販業界の根幹である「対面」が制約される中、オンラインによる営業や接点の場を作ることが、影響を最小限に抑えるための要素と言える。
 コロナ禍の収束が見えない中、こうした非対面の取り組みは、今後も、継続的に実施していく必要はありそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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