消費者庁/「訴訟件数など不十分」/消費者裁判手続き特例法検討会で議論

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消費者裁判手続き特例法等に関する検討会の模様

 消費者庁は3月24日、消費者裁判手続き特例法等に関する検討会(山本和彦座長)の初会合を開催した。消費者裁判手続き特例法は、特定適格消費者団体に集団訴訟の原告としての権限を与えることで、消費者の財産被害の集団的回復を可能にする法律。検討会の委員からは、「法律の施行後に提起された訴訟の件数は十分とは言えない。被害者を救済できていないのではないか」などといった意見が複数挙がった。


■集団的財産回復が可能に

 同検討会では、16年10月の施行から4年間の運用状況を踏まえつつ、消費者裁判手続き特例法について検討する。消費者にとって法律が利用しやすいかどうかや、特定適格消費者団体が社会的意義を果たしているかどうかなどについて議論するのが目的だという。
 一橋大学大学院の山本和彦教授が座長を務めており、消費者問題に詳しい大高友一弁護士などが委員に名前を連ねている。
 初会合では、事務局である消費者庁消費者制度課が、消費者裁判手続き特例法の運用状況の現状について報告。消費者支援機構関西・埼玉消費者被害をなくす会・消費者機構日本の3団体を、特定適格消費者団体として認定したことを説明。同法に基づく「共通義務確認訴訟」がこれまで4件提起されてきたことも報告した。
 共通義務確認訴訟は、第1段階目の訴訟。適格消費者団体が、事業者に対して訴訟を提起し、事業者が「共通する原因に基づき金銭を支払う義務を負う」かどうかを争う。訴訟に勝訴か和解をした場合、第2段階目の手続きに移行。事業者から開示された顧客リストなどを使って、同じ被害を受けた消費者に通知し、被害回復の手続きへの参加を募る。参加した複数の消費者の債権を、適格消費者団体がまとめて裁判所に届け出る仕組みだ。


■返金の申し入れ続々

 初会合では、訴訟には至らなかったものの、特定適格消費者団体からの返金の申し入れを受けた事業者が返金対応を行った事案として、「葛の花由来イソフラボン」の機能性表示食品の通販の事案があったことも報告した。
 特定適格消費者団体の消費者支援機構関西(所在地大阪府)では、20年8月に美容サプリECのファンソル(本社東京都)に対しても、返金対応の申し入れを行っていた。19年に消費者庁から景品表示法に基づく措置命令を受けた酵素サプリEC5社に対しても、同様の申し出を行い、一部で返金対応がされたという。
 慶応義塾大学法学部教授の大屋雄裕委員は、「訴訟の件数が限定的だ。被害を受けた消費者の集団的回復がなされていないのではないか」と発言した。別の委員からは、制度自体の認知が進んでおらず、被害を受けた消費者が特定適格消費者団体に相談を寄せるケースが少ないことなどを問題視する声も挙がった。
 第2回の検討会では、特定適格消費者団体の担当者から、具体的な制度の運用課題などをヒアリングする方針だ。同検討会は、21年8月をめどに、法律の運用の方向性や、制度改正の必要性などについて、一定の結論を出す予定となっている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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