消費者庁/コロナで解約相談が増加/解約料の負担について議論

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 消費者庁は11月11日、消費者契約に関する検討会を開催し、「不測の事態における消費者契約のキャンセルについて」を議論した。新型コロナウイルスの感染拡大により、旅行やホテル、リフォームなどの解約や解約料に関する相談が増加していることから、対応策が急務となっている。事業者に解約料の全額負担させることには慎重な意見が上っている。
 解約に伴う費用の負担の責任については、慎重な姿勢を示す委員が多数だった。沖野眞已委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「消費者や事業者に一方的な負担を強いることは、慎重になるべき」との見解を示した。遠山優治委員(一般社団法人日本経済団体連合会委員)もこれに続き、「一般のキャンセルとは異なり、事業者側の経営状況も考慮する必要がある」と主張した。
 消費者庁によると、20年1~8月に全国に寄せられた、新型コロナウイルス関連の相談は6万4938件に上っている。PIO―NETによる相談の報告件数や売り上げの減少率から、リフォームやホテル、航空など各業界に対応策などのヒアリング結果を公開した。
 リフォーム業界からは、「中国から部材が届かず、当初予定通りの施工が難しい場合、事業者都合で無償で工期の延長」や「契約成立後に消費者がキャンセルを申し出てきたときは、発注済のオーダーメイド品は消費者の実費精算」などの取り組みが行われていることを会合で共有した。楠正憲委員(一般社団法人 OpenIDファウンデーション・ジャパン代表理事)は、「このような事業者の取り組みを考慮しつつ、今後の対策を考えるべきだ。キャンセル費用を全て公費で賄うのは、現実的ではない」と述べた。
 次回の会合は12月2日に開催され、引き続き新型コロナウイルス関連の解約について議論していくとしている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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