TPCマーケティングリサーチ〈2019年度のサプリメント市場〉/0.7%増の7942億円

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 TPCマーケティングリサーチ(本社大阪府、川原喜治社長)は9月16日、2019年度のサプリメント市場は前年度比0.7%増の7942億円になったとの調査結果を明らかにした。機能性表示食品を中心とした生活習慣病対策カテゴリーや、プロテインの伸びが続くスポーツ関連カテゴリー、ロコモ対策や認知症対策といったシニア向けカテゴリーなどが順調に推移した。中国電子商取引法施行に伴うインバウンド需要の減少、景品表示法違反による酵素商品の縮小などが響き、市場全体では微増の推移となった。
 19年度の訴求別市場規模は、栄養素補給が1746億円で最も大きく全体の22.0%を占めた。次いで、活力対策が構成比21.4%の1703億円、関節・筋力対策が同12.9%の1021億円、美容が同8.5%の672億円、スポーツが同7.2%の570億円となっている。
 栄養素補給は前年度比1.7%減だった。同市場はビタミン・ミネラルなどのベースサプリメントの占める割合が高い。ビタミン・ミネラルサプリメントはリピーターに支えられて一定の需要は維持しているものの、市場は縮小傾向にある。
 このほか、青汁市場はこれまで拡大を続けてきたが、インバウンド特需の反動などにより苦戦している。市場全体が飽和状態の中で参入企業は増加しており、パイの奪い合いが激化している。
 関節・筋力対策は同3.9%増だった。同訴求はグルコサミンサプリメントを中心に安定した市場を形成している。かつては「関節痛の緩和」を訴求した商品が多くを占めていたが、最近は筋力や骨にアプローチした機能性表示食品も増えている。
 超高齢化社会の日本において、高齢者の健康寿命延伸は国を挙げたテーマで、ロコモ対策は重点政策の一つとなっている。同市場は高齢者の増加に伴い、今後も堅調な推移が続く見通し。
 スポーツはプロテインがけん引し同8.0%増となった。近年消費者のタンパク質摂取の意識が高まったことで、従来のスポーツ選手やアスリートなど限られた層から、ユーザー層が急速に拡大。それに伴い、各社がさまざまなユーザーをターゲットにした商品の投入を活発化させたことも市場成長を後押ししている。
 20年度のサプリメント市場規模は前年度比1.0%増の8022億円となる見通し。新型コロナウイルス感染症の拡大は、サプリメントに対する消費者ニーズを高めている。
 具体的にはコロナ禍をきっかけに、食事で足りない栄養素を補う目的でサプリメントを摂取したり、免疫機能を高めるためにサプリメントを活用したりする動きが広がりを見せている。消費者の健康維持・増進に対する意欲は高く、サプリメント市場は引き続き堅調な推移が予想される。

〈調査期間〉
 20年5月~9月

〈調査対象企業〉
 アサヒグループ食品、味の素、大塚製薬、小林製薬、サントリーウエルネス、資生堂、大正製薬、ディーエイチシー、日本アムウェイ、ファンケル、富士フイルムヘルスケアラボラトリー、明治、森下仁丹、山田養蜂場、ライオン、わかさ生活など

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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