〈住設訪販企業〉 蓄電池の販売が再び拡大/防災意識の高まりが背景に

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 住設訪販業界では、蓄電池のニーズが再び広がっている。災害への備えだけでなく、警報レベルの豪雨が防災意識をより高め、蓄電池導入につながっている。在宅勤務の長期化で電気代の負担を気にする人からのニーズも高まっているようだ。太陽光関連情報のメディアを運営するグッドフェローズ(本社東京都)では、蓄電池を設置した顧客への調査の中で「電気代が約半額になっている」との声を拾っている。販売店各社は、防災や節電の言葉を営業トークに盛り込みながら、コロナ禍でも着実に蓄電池の販売を伸ばしている。顧客や販売店の動向をまとめた。

■電気代が約半額に

 太陽光発電や蓄電池のメディア「タイナビ」や「タイナビ蓄電池」を運営しているグッドフェローズ(本社東京都、長尾泰広社長)はこのほど、蓄電池を設置している顧客に対して、防災や節電に対する聞き取り調査を行い、3人から回答を得た。それによると、埼玉県在住の顧客は、「これまで東京電力に支払っていた電気代よりはトータルで安くなっていると思う」と回答。「2回停電が起きたが、すぐにバックアップが働き、電気は復旧した。とてもメリットを感じた」と話したという。
 大阪府内に住む顧客は「約3年前に12キロワットの蓄電池を購入した。太陽光発電は約12年前から設置し、「卒FIT」(太陽光発電による余剰電力の高値での売買期間満了)した。家で接骨院を営んでおり、日中は電気を使い、夜間の安い時に、蓄電池に電力をため、朝は蓄電池の電気を使用。電気を効率的に使っていると感じる」とコメントしている。
 都内に住む顧客は「常に売電がプラスだったので、夜間に蓄電池を使っている。電気代は以前に比べて半額くらいになっている」としている。
 ウェブメディア「タイナビ蓄電池」へのアクセス数も大幅に伸長し、20年1月~9月中旬のアクセス数は前年同期間比で約4倍になっているという。特に9月4~6日の3日間のアクセス数は前年の10倍に伸長。「台風などの報道の影響もあるが、防災や停電への対策を講じようとするユーザーが多かったのではないか」(広報・小野原雅子氏)とみている。9月13日時点までに最も多く閲覧されたのは、9月4日に公開した「停電したとき、まずやるべきことは? 家の中と外のケースをチェック」という記事だった。


■防災や節電を営業に

 太陽光発電や蓄電池の訪問販売を展開する新日本エネックス(本社福岡県、西口昌宏社長)では、20年3月からの6カ月間で完工した蓄電池は470件で、前年同期比で2倍以上伸びたという。
 同社は、防災や節電に対する顧客ニーズの高まりを受けて、「営業時のトークは、防災や節電に関する内容をしっかりと盛り込んでいる」(西口社長)。20年2―7月期(中間期)の売上高は、前年同期比で約2倍と大幅増収となった。8月から年末にかけても増収を見込んでいる。
 太陽光発電や蓄電池を訪問販売企業、NOSCOライフネットサービス(本社広島県、久留島亮社長)も、防災や節電に対する顧客の意識の高まりを実感している。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月17日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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