消費者庁/取引対策課を6人増へ/〈概算要求〉PIO―NETのAI導入も急ぐ

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 消費者庁は8月30日、20年度予算の概算要求と機構定員要求の概要を公表した。特商法の大型案件の執行の増加を背景に、取引対策課の人員を6人増員することも求めている。特商法の法執行に係る予算については、前年比1000万円増の2億5000万円を要求している。PIO―NETへのAI導入の予算についても要求。早ければ20年9月に、消費者相談をチャットボットが行うなどのAI化を実現する予定だとしている。
 20年度一般会計の概算要求額は、前年度比23.7%増の146億3000万円だ。成年年齢引き下げに伴う若者への消費者教育などに充てる地方消費者行政交付金として同6億円増の28億円を要求。新規予算として、「新未来創造戦略本部」で行っている「国際的動向を踏まえた消費者政策機能の強化」などを盛り込んだ。
 PIO―NETのAIチャットボットの導入にかかる予算を含む、(独)国民生活センターの運営交付金として、前年度比10億円増の40億5000万円を要求している。人手不足が深刻化している全国の消費生活相談員の育成にかかる費用(1億2000万円)や、各消費生活センターにPIO―NET端末を増設する費用(2億9000万円)も、新規予算として要求している。
 機構定員要求では、特商法の執行を行う取引対策課の取引処分担当を6人増員することを求めている。
 増員の目的については、「大型案件の行政処分が増加する中で、法違反となる取引に対して厳正な処分を行うため」としている。
 消費者庁は18年末から3回にわたり、スマホ用アプリなどのレンタル事業を展開していたウィル(本社東京都)と関連企業7社に業務停止命令を行うなど、大型案件の執行件数を増やしている。昨年はEC企業に誇大広告表示で業務停止命令を行った。訪販やネットワークビジネスだけではなく、通販についても、特商法の執行が強化される可能性がある。
 新規予算としては、「Society5.0」に関する課題調査費も盛り込んだ。音声スピーカーとAIを介した新しい消費契約の形などについて、課題を調査していくために充てるとしている。
 具体的な研究課題は「未定」(廣瀬参事官)としつつも、「AIを介した買い物などは、契約の主体があいまいになる。トラブルの際に誰が責任を負うのかが不明瞭なケースについて、検討する余地がある」(総務課猪飼課長補佐)と話している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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