東京都/事業者への配慮を要請/若者対策、中間取りまとめ案

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 東京都が、若者に対する消費者トラブルの防止に乗り出している。民法の成年年齢の引き下げを踏まえ、学校や家庭における消費者教育の重要性を訴え、ネットワークビジネス(NB)やマルチまがい商法、SNSをきっかけとした消費者トラブルの未然防止を狙う。3月27日に開催した第25次消費生活対策審議会「第3回検討部部会」を開催し「中間取りまとめ(案)」を公表。案では、消費者トラブル防止の一環として、事業者に対して、契約書面の内容を平易にするなど一定の配慮を求めることも盛り込んだ。
 消費者教育の推進を軸とした対策では、学校教育現場との連携を強化する。学校教育部門(教育庁)と消費生活部門(生活文化局)が開発する教材については引き続き連携を図る。授業後に使用した教材のアンケートを実施し、情報を都と共有することでその後の教材の制作に生かす。
 教員への消費者教育への理解を促すことを目的に、学校長を含めた研修も強化する。都立学校校長会などを通じて、学校長に対し教員の研修出席への配慮を促す。
 学校などで外部講師など効果的に活用する学校教育部門と消費生活部門をつなぐ役割の「消費者教育コーディネーター」の設置については「十分に検討する必要がある」と前向きな意見が示された。仮に実現すれば都では初めての取り組みとなる。教員経験者など学校現場に精通している人材を消費生活部門に配置するなどを検討する。
 若者の情報ツールとして、SNSを一層活用し、動画や電車による電車の車内広告、イベントなどで普及を行う。消費者トラブルの注意喚起情報に加え、ICTを使った新たなサービスの紹介など、若者の関心を引く話題や消費者問題がなぜ起こるのかを発信することを目指す。
 都は、区市町村への具体的な支援策として、都が持つ具体的なノウハウを積極的に提供するほか、消費生活行政担当者を対象とした「消費者問題マスター講座」を教育行政担当職員に広げることで消費者教育の重要性を説いていく。
 取りまとめ案では、「消費者教育以外で取り組むべき対策」について言及。「若い人に多い消費者被害『マルチ・マルチまがい商法・アポイントメントセールス』などについて、現行の法令などを運用し、悪質事業者に対する取り締まりを強化する」と明記した。さらに、「若い人が契約に当たり適切な選択ができるように、契約前に契約内容を分かりやすく示すことや、契約書の記述を平易な表現にすることなどを含め配慮が求められる」と、事業者に対する要求も盛り込んでいる。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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