【17年度無店舗販売企業上位50社の売上高】 4.4%増の4.7兆円/実質成長率、〈通販〉5.4%、〈訪販〉3.5%

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 日本流通産業新聞は7月、無店舗販売企業(通販・訪販事業者)による2017年度(17年4月〜18年3月に迎えた決算期)の売上高調査を実施した。それによると、上位50社の合計売上高は4兆6964億600万円で、前年度調査と比較して4.4%の増加となった。実質成長率は通販が5.4%増、訪販は3.5%増だった。上位50社の合計売上高が前年度を上回ったのは3年連続。通販、訪販の実質成長率も3年連続の増加となっており、無店舗販売市場は安定成長で推移している。(通販・訪販別の売上高ランキングなど2〜11面に関連記事)

〈ネットを駆使、販促も積極化〉

 通販市場において売上高の成長が目立つのは、業務用品を取り扱うBtoB通販企業やアパレルのEC事業者などだ。作業現場から必要なときに、必要な商品を容易に注文できるBtoB通販への需要は、ネット通販の利便性を背景に毎年シェアを拡大している。
 アパレル分野においても、ネット通販のさまざまな使い方が需要を高めている。各通販事業者はスマホ向けにアプリを用意して、見せ方や買い方、独自のサービスを打ち出すことで売上高を高めている。インスタグラムなどSNSの活用も販促に一役買っている。
 ただ、ネット通販に力を入れても、必ずしも売り上げが伸びるとは限らいない事例が出始めている。ネットの世界における技術やノウハウの進化が早いとともに、通販事業者にとって自社の顧客に合致した商品力や、使いやすいネット環境を整えるかが販売力に影響しているためだ。
 通販では営業費用とも受け止められている広告宣伝費の投下も、売上高に影響している。ファンケルの増収が著しいのは、そのことを示唆しているといえる。広告先行投資にシフトして販促を強化した結果、化粧品だけでなく健康食品の大幅な増収に寄与した。
 ジャパネットたかたやジュピターショップチャンネルが、1000億円という規模の分母がありながら増収となっているのも、商品力もさることながら販促効果による影響は大きい。このことは恐らく、サントリーウエルネスにも当てはまることだろう。


〈最大手ポーラ、業界押し上げ〉

 1000億円規模の分母がありながら、大幅な増収を記録したのは、訪販業界最大手のポーラも同様だ。17年1月に発売したシワ改善の薬用化粧品が発売から1年で1万本を超える大ヒットを記録。同社の売上高は前期比で285億円を超える増収となった。ヒット商品が高級化粧品の併売効果を生み出したことが、増収幅をさらに拡大する結果につながった。画期的な製品に広告費を大きく投じた結果、サロン販売を主体とするポーラがリーチできない顧客も獲得することができたという。
 さて、訪販業界で最大の課題となるのは販売員の増員と教育だ。今回の調査で、リフォーム・太陽光発電機器の訪販企業の増収が目立ったが、その背景には、営業マンの増員や、人材育成の徹底があったと話す企業が多かった。
 本紙の集計では少なくとも2010年以後、訪販の実質成長率が3%を超えたのは初。しばらくぶりの快挙となったといえる。ネットワークビジネス企業でも2桁増収を達成した企業が複数あった。ただ、喜んでばかりもいられない。売り上げが増加すれば、次に懸念されるのはコンプライアンスの面での問題だ。法規制は厳しさを増しており、コンプライアンス体制の見直しは急務だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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