〈書面の電子化検討会〉 「禁止行為」で意見割れ/訪販協「操作方法教える行為の禁止を」(2022年6月2日・9日合併号)

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 消費者庁は5月30日、「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」の第3回会合を開催、検討会の委員らが論点整理(案)を踏まえた意見を述べた。会合では、主に、「禁止行為」について、意見交換がされた。(公社)日本訪問販売協会(事務局東京都)は、「デジタルが苦手な消費者に対して電子書面が交付されることによって生じるトラブルを防ぐべき」(小田井正樹事務局長)と主張。「事業者が消費者の代わりにデジタル機器を操作したり、方法を教えたりする行為を禁止してはどうか」などと提案した。これに対して(一社)日本経済団体連合会の正木義久委員は反論、再考を促す考えを示した。
 契約書面の電子化については、改正法が「紙での書面交付が原則」と定めている。禁止行為については、複数の委員から、「書面の電磁的交付へ誘導する行為を禁止してはどうか」といった案が上がった。
 訪販協の小田井委員は、「紙の書面の有料化や、電子交付の場合にプレゼントを付けるなど、電子交付を選択したほうが有利であると思わせうるような取引条件を設け、電磁的方法を承諾するよう促す行為を禁止してはどうか」と発言した。
 一方、経団連の正木義久委員は、「訪販協は『プレゼントの禁止』を挙げているが、マイナポイントの制度もあり、消費者によっては電子交付で特典を希望する人がいておかしくない。特典を禁止することはできないのではないか」と発言した。
 正木委員は、訪販協が、「事業者が代わりに操作したり、操作方法を教えたりするのを禁止してはどうか」とした件についても反論。「ヘルプボタンを付けるのもダメというのはどうなのか。消費者が質問してきているのに、それを教えるのを禁止とするのは、考え直すべきではないか」などと発言した。
 訪販協など、複数の委員からは、「電子書面の交付がされてもトラブルが起きないよう、電子書面の交付についての承諾は、デジタル機器を操作して得るのが良いのではないか」とする意見が上がった。
 委員からは、「訪問販売や連鎖販売取引、特定継続的役務提供など、取引類型ごとに、電子書面の交付の方法を検討するべき」とする意見が上がった。訪販協は、「取引類型ごとに差を設けるべきではない」とする考えを示した。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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