〈景表法検討会〉 国セン提出資料など議論/取りまとめへの工程案も (2022年4月21日号)

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 消費者庁は、4月14日にオンラインで開催した第2回「景品表示法検討会」で、検討会の工程案の提示、独立行政法人国民生活センター(国セン)が提出した資料の説明などを行った。委員からは、景表法の強化を問う声や、悪質事業者による対応を質問する声がみられた。検討会は今年7月から年内をめどに取りまとめる方針となった。
 検討会の目的は、消費者利益の確保を図る観点から必要な措置を検討するため。14年に改正法が施行されてから一定期間が経過したことと、デジタル化の進展など景表法を取り巻く社会環境の変化などを踏まえる。
 第2回検討会では、検討会の工程案を提示した。7月から年内をめどに、関係者などへのヒアリング、意見交換、取りまとめを行う方針を示した。これに伴い、6月中をめどに検討の方向性などを整理。5月前半の開催を見込む第3回検討会までに、有識者などへのヒアリングを終える。
 第2回検討会では、デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律概要の確認と、国センからヒアリングした内容の確認も行った。国センは、資料を通じて最近の相談事例を交えた消費者トラブルと広告表示について、検討会に提出した資料の内容を説明。検索連動型広告やターゲティング広告では、見ている人の検索・閲覧履歴や属性に合わせた広告が表示されるため、事業者と交渉する上で、同じ広告を再現し、内容を確認することが困難─といった現状の課題が上げられた。
 慶應義塾大学法学部教授の大屋雄裕委員は、国センによる説明の一つ「動画で短い時間、表示される広告のため、商品やサービスの詳細を確認しにくい」という広告・表示上の問題を持つ事業者に関心を持ち、消費者からの申し出を受けてこうした表示を行う事業者と交渉した際に、広告表示の改善に応じる事業者が多いかを質問。これに対して国センの担当者は、現状、悪質事業者は話し合いのテーブルにつくこと自体が難しい印象だと述べた。
 東京大学大学院法学政治学研究科教授の白石忠志委員は「特商法や消費者契約法でも足りない部分を、今回、景表法を強化するという点で期待しているのか」と質問。国セン担当者は「当センターの判断材料や、事業者を説得する材料を今後いろいろと示していただけると助かる」と回答した。
 検討会は、公益社団法人日本広告審査機構(JARO)にもヒアリングを実施。JAROは資料を提出した。資料は、個別の具体的事案を扱っている部分があるとして、一部非公開としている。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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