〈今年4月1日成年年齢の引き下げ〉 業界団体、企業は自主的規制/問われる勤労成年への対応 (2022年2月3日号)

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(Ⓒ和久井健・講談社/アニメ「東京リベンジャーズ」製作委員会)

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 今年4月1日の改正民法の施行に伴い、成年年齢が18歳に引き下げられる。信販(ローン)やクレジットカード契約をはじめ、特定商取引法が定める訪問販売や通信販売、連鎖販売取引についても親の同意なく契約ができるようになる。成年年齢の引き下げに伴い消費者庁や法務省などの関連省庁では、若者が消費者被害のターゲットにならないように啓発活動したり、学校教材として動画、ツイッターなどのSNでも情報発信している。消費者庁でも独自の動画コンテンツの構築を目指している。公益社団法人日本訪問販売協会(事務局東京都)などの業界団体では、自主行動基準の見直しに着手。訪販・ネットワークビジネス(NB)企業では、会員に対する注意喚起を行う動きが出始めている。成年年齢の引き下げが業界に与える影響について探る。

■岸田首相、被害防止徹底を指示

 1月7日開催の「成年年齢引き下げに関する関係閣僚会合」で、岸田文雄首相は「民法改正に伴い若者の社会参加に意義がある。一方で悪徳事業者による消費者被害防止など多方面的な取り組みが重要だ」と述べ、各関係省庁に(1)教育を通じた若者の必要な能力の向上(2)広報・啓発を通じた幅広い世代への浸透(3)関係業界への働きかけを通じた適切な配慮の確保─の3点を指示した。
 今年4月以降、これまで民法で定められていた親の同意なく結んだ未成年の契約を取り消す「未成年者取消権」が17歳以下に引き下げられる。これを受け、消費者庁や法務省、国民生活センターなどは啓発活動にあの手この手で取り組む。
 国民生活センターでは「若者向け注意喚起シリーズ」と題し、若者がトラブルになりやすい事例を発信。法務省は公式ツイッター「成年年齢引下げ公式アカウント」でクイズ形式の啓発情報を発している。
 消費者庁は20年11月から「消費者保護のための啓発用デジタル教材開発に向けた有識者会議」を開催。2月7日に開く7回目の会合で最終段階に入るという。
 同庁では成年年齢の引き下げに伴い、高校生ら18歳の消費者トラブルを防止することを目的に、動画を中心としたコンテンツ、教材の作成を進めている。事務局によると、作業は完成に向け最終段階で、4月以降に専用ポータルサイトなどで公開し、高校家庭科や社会科の教材としても活用される見込みだ。
 国民生活センターの集計によると、SNSをきっかけとした相談件数が増加傾向にあり、こうした事例を積極的に発信することでトラブル防止につなげたい考えだ。


【業界団体の動き】

■訪販協、直販協は自主行動基準を見直し

 日本訪問販売協会(以下訪販協)は自主行動基準を見直す。1月18日付けで、会員企業に対して意見募集の実施を告知した。

(続きは、「日本流通産業新聞」2月3日号で)

法務省の公式ツイッター「成年年齢引き下げ公式アカウント」

法務省の公式ツイッター「成年年齢引き下げ公式アカウント」

訪販協が消費生活センターを通じて配布する若者向けの啓発パンフレット

訪販協が消費生活センターを通じて配布する若者向けの啓発パンフレット

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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