2022年 有力EC事業者・有識者が市場を予測

　薬用化粧品のＯＥＭを軸に通販・ＥＣの総合支援事業を展開する天真堂（本社東京都）は、Ｄ２Ｃ通販のサポートを拡充させている。”お悩み共感型”の従来型単品リピート通販に対して、Ｄ２Ｃ通販は”ブランド共感型”と位置付けられるという。「Ｄ２Ｃ通販市場ではスタートアップ企業でも競争優位性を確保できる可能性が大きい」と話す松崎淳社長に聞いた。

　最近、「Ｄ２Ｃ通販を立ち上げたい」という問い合わせをいただくことが増えた。シミ・シワなどの具体的な悩みに対して解決策を提示するのが従来型の単品リピート通販だとするならば、「ブランドの世界観」「ものづくりへの思い」「志向するライフスタイル」といったものをユーザーに提示し、共感を呼ぶのがＤ２Ｃ通販だと当社では位置付けている。商品を売るというより、情緒的ベネフィットを提案するのだ。
　価値観の多様化や、嗜好性の細分化が進む現代において、Ｄ２Ｃ通販のニーズはますます高まるだろう。機能性だけで商品を選ばない消費者が増えている。一方で、”お悩み共感型”の単品リピート通販のニーズもなくなるわけではない。今後は、両者が共存する状況が続くだろう。当社は、その両方をサポートしていく。
　”お悩み共感型”の単品リピート通販は、縦スクロール型のＬＰで、機能的ベネフィット、配合原料、権威、独自性、お買い得な定期オファーなどのコンテンツで訴求する。その売り方については、多くの事業者が切磋琢磨する中で、研ぎ澄まされてきている。
　一方で、”ブランド共感型”のＤ２Ｃ通販は、時代とともに変化、細分化する価値観や嗜好性にアプローチする。共感されるブランドを生み出せれば、まだまだ新しい市場を切り開くことが可能だ。そうした意味からも、Ｄ２Ｃ通販市場では、スタートアップ企業でも、競争優位性を確保できる可能性が大きいといえる。
　そもそも「機能」と「ブランド」は切り離せない、商品の要素であり、それぞれ売り方やノウハウは今後、市場が拡大していく中で、融合していくだろう。