【丸の内ソレイユ法律事務所 成眞海弁護士】地方自治体の法執行に注意を

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 健康食品や化粧品の広告表示に詳しい、丸の内ソレイユ法律事務所の成眞海(セイ・シンカイ)弁護士は、多くの単品通販企業のランディングページ(LP)などについて、監査やアドバイスを行っている。3月31日には、埼玉県から、アフィリエイト広告の表示について景品表示法に基づく、初の措置命令が出され、話題となった。翌日には、同じ会社に対して特定商取引法に基づく処分も行われている。サプリメントなどの広告表示に対して、行政が景品表示法や特定商取引法の執行を強化する中、「消費者庁だけでなく、地方自治体の法執行の事例をチェックし、行政がどんな判断をするかについて、感度を高めるべきだ」と話す成弁護士に、話を聞いた。

■顧客満足度を指摘

 ─景表法や特商法について、最近の行政の執行で気を付けるべき点はどんなところですか。
 大前提として、法違反になる広告表示は絶対に避けるべきです。行政から措置命令を受けるからということもありますが、企業としての信頼を損なうことにつながります。
 その上で申し上げると、消費者庁に加えて、地方自治体の措置命令の件数が増えているという印象があります。中には、これまで行政が違法性を指摘してこなかった表示について、違法性を認定するケースもあります。
 企業は、埼玉県や大阪府、東京都といった地方自治体の執行状況をつぶさに確認し、違反となった広告表示が、自社の広告表示にも当てはまらないかを確認する必要があります。
 「これまでOKだった」「他社がやっているから」という言い訳は通用しなくなっているのです。油断していると、指摘を受ける可能性があります。
 例えば、埼玉県が昨年8月に行った、女性向け育毛剤を販売する通販企業に対する措置命令では、「顧客満足度」と「事実と違う写真」について、指摘しています。
 命令を受けたRAVIPA(ラヴィパ)は、自社のLPで、「顧客満足度91.3%」と表示していました。埼玉県は、「顧客満足度等の算定には無作為抽出法で相当数のサンプルを選定し、作為が生じないように考慮して行うなど、統計的に客観性が確保されている調査を行わなければならない」としています。実際には、「同社の調査は顧客に対するものではなくモニターに対して行ったものだった」という認定を行っています。
 こうした、LPで「顧客満足度」を示す表示は、ネット上のLPにとても多く見られます。ただ、全ての表示が正確な調査に基づくものかどうかは分かりません。


■アフィリエイトとの一体性

 また、埼玉県は3月31日に、ダイエットサプリを扱うニコリオに対して、アフィリエイト広告の違法性を認定し、景品表示法に基づく措置命令を行いました。

(続きは、「日本ネット経済新聞」4月23日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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