【ベクトル 村川智博社長】 〈リサイクル流通網構築へ〉/対メルカリの戦略と仕組みづくりを進める

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 ブランド古着のECサイト「ベクトルパーク」を運営するベクトル(本社岡山県、村川智博社長)は、メルカリを意識した事業展開を進めている。多くのアパレルブランドと提携して、アパレルブランドが自社の顧客から自社製品の古着を買い取り、再流通させる仕組みを構築。将来的には地方のリサイクルショップをベクトルのECの流通網に参加させる仕組みも構築していくとしている。対メルカリ戦略の詳細について、村川社長に聞いた。


■アパレルブランド支援に注力
 
──18年4月期の業績はどうでしたか。
 ほぼ横ばいでした。前期は、現在注力している事業の準備段階で、あまり大きな伸びがなかったといえます。
 ブランド品買取サービス「フクウロ」が昨年に引き続き順調でした。ユーザーが当社の「出品・査定センター」に売りたいブランド品を宅配便で送り、当社が査定・買取・販売を行う「宅配買取」の仕組みを導入したことにより、ユーザーの手間は大きく軽減されました。そのことが、人気の理由になっています。
 
──現在注力している事業とは何ですか。
 ブランドの顧客から、そのブランドの中古品を買い取る事業に注力しています。アパレルブランドが自社の顧客から自社の古着を買い取り、当社が買い取りの仕組みを提供する形です。ブランドオーナーからは案件が多数寄せられており、現在、多くのブランドを抱える某大手アパレルメーカーとも話が進んでいるところです。
 自動車メーカーの中には、新車の製造・販売だけでなく、新古車の販売や、中古車の査定・買取も行っているところがあります。それと同様のサービスの手伝いを当社が行うイメージでしょうか。


■「1.5次流通」を促進させる

──なぜそのような事業を立ち上げたのですか。
 どうせ中古品として売られるのであれば、自社で流通を担いたい、と考える企業が増えているためです。
 現在、アパレルの一次流通である新品の販売は伸び悩んでいます。中古品の販売である二次流通についても、メルカリなどの「フリマアプリ」の普及によって、従来の専門業者は苦しんでいるというのが現状です。業界が停滞しているのです。
 今後は、「1.5次流通」が進んでいくものと考えています。新品を製造・販売するブランドが、自社の中古品を顧客から買い取り・販売する、「流通の囲い込み」が進むのではないかと考えています。アパレルブランドの流通サイクルの中で、顧客が回遊するシステムが実現します。その運営を、当社でサポートしたいと考えています。
 中古品を新品より安価で、各ブランドが販売することにより、顧客の流出を防ぎ、新規顧客の囲い込みを図ることができます。
 ユーザーが、ブランドの中古品を、他社に売ったり、他社から買ったりすると、そのサービスでポイントが貯まるなどの特典が得られます。結果として顧客がそのサービスの顧客として囲い込まれたり、ブランドから離れてしまったりする可能性があります。
 ブランドが自社で、中古品を買い取り・販売を手掛ければ、顧客流出が防げるのはもちろん、新品を定価で買う経済力のない若者など、未来の顧客を囲い込むことにもつながるのです。
 ─5月にアパレル業界に特化した3PL(物流委託)事業を行うジーエフ(本社岐阜県、児玉和宏会長)と提携し、合弁会社を新設しましたが、目的は。

(続きは、「日本ネット経済新聞」11月15日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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