〈単品EC〉 巧妙化するサンプル転売/背景には”迷惑系ユーチューバー”

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 健康食品や化粧品の「初回お試し品」の転売に手を焼くEC事業者が増えている。不正対策の支援会社によると、EC事業者から寄せられる、初回サンプル品の転売に関する相談は、この2年間で増加し続けているという。背景には、消費者を陰で操り、サンプル転売を促す”迷惑系ユーチューバー”の存在もあるようだ。あるユーチューバーは、サンプル商品の転売方法をユーチューブの動画で指南。ごていねいに、買ったサプリがいくらで売れるかを示した資料まで提供している。企業法務に詳しい弁護士は、「ECサイトで転売を禁止している場合、転売目的の購入者については、偽計業務妨害罪が成立し得る」と話している。

■被害額は100億以上?

 初回サンプル品の転売の被害を口にする企業が増えている。
 ヒアルロン酸配合の化粧品などのECを展開するトウ・キユーピーの通信販売部の井上泰孝課長は、「毎年、無視できない件数で、初回サンプル品の転売が発生している。組織的に転売のための購入を繰り返すケースもあるようだ。転売品を、悪意のない消費者が購入するケースもある。1件当たりの被害額は少なくとも、業界全体では、年に100億円以上の損害になるのではないか」と話している。
 ECの不正防止対策ツールなどを提供するかっこ(本社東京都)では、約2年前から、健康食品や化粧品の単品通販会社から、転売対策に関する問い合わせが寄せられるケースが増えているという。
 かっこに寄せられる被害の中には、「同じ購入者が名前や住所を少しずつ変えながら、初回購入を何度も繰り返す」といったケースもある。「初回購入のサンプル商品が、アマゾンに次々と出品され、正規出品の商品が売れなくなってしまった」といった相談も寄せられているという。
 かっこのオープラックス事業部の中生緑マネージャーは、「定期販売で、初回と2回目以降の価格の差が大きい商品ほど、被害に遭いやすい」と話す。


■ユーチューブで転売指南

 転売の被害に苦しむEC企業が増加している背景の一つには、”迷惑系ユーチューバー”の存在もあるようだ。

(続きは、「日本ネット経済新聞」7月23日・30日合併号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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