NB各社のコンプライアンス/会員の「管理・教育」体制構築が急務/会員登録制度の見直しで成果も

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 ネットワークビジネス(NB)主宰企業に対する行政の規制が厳しさを増している。主宰企業と会員は雇用関係がなく、管理されないビジネス活動が魅力とされてきた。一方で、管理できていない一部会員の違反行為が本社全体に影響を及ぼしてしまうリスクも抱える。NBは、ビジネスに関心のない会員が8割以上を占める企業が多く、たとえ一部であっても管理の及ばない会員の違反行為が命取りになる。行政処分を経て改革を実施した各社の取り組みからは、「会員をどのように管理するか」という課題が浮かび上がる。NB業界において、雇用関係のない会員のビジネス活動をどのように「管理」「教育」するのか急務になっている。

 NB業界では、行政処分や行政指導が目立っている。近年の処分事例をみると、(1)勧誘目的の隠匿(2)効果・効能を告げる不実告知ーーーが依然として目立ち、この傾向は業界にとって長年の大きな課題となっている。
 消費者が商品の使用体験を〝口コミ〟で広げるのがNBの最大の魅力。その半面、この口コミがコンプライアンス面でリスクとなる可能性も高い。
 他の販売形態と比べ、連鎖販売取引に求められるルールは厳しい。このことから、NB各社は会員へのコンプライアンス教育に力を入れているものの、根本的な解決には至っていないのが現状だ。
 NB会員特有の身分も背景にある。会員は本社と雇用契約のない「個人事業主」とされている。一般企業の正社員と異なり、会員は販売員であるものの、法律が定める禁止行為や会員規約以外は実質縛られていない。
 さらに、NB特有の習慣として、会員に対して上位会員を飛び越えて本社から連絡するという行為を躊躇する企業が多い。そのため、ビジネス活動に対しての意識が人によって異なり、末端の会員までをどのように「管理」「教育」するのかが主宰企業にとって長年の課題となっている。

■会員登録時に電話で確認

 IPSコスメティックス(本社東京都)は、16年11月に消費者庁から3カ月間の業務の一部停止を命じられた。このことを受け、大幅に組織体制を見直した。
 違反事実として指摘を受けた「書面の不交付」を防ぐため、ビジネス会員登録の際は本社から電話をかける「ウエルカムコール」で書面不交付や勧誘行為に不正がなかったかどうかを確認している。具体的には「効果・効能といった違反トークがなかったか」「概要書面・契約書面は受け取っているのか」といった内容を聞く。

(続きは、「日本流通産業新聞」9月7日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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