国土交通省/物流大綱への提言発表/新技術で生産性高め、人手不足も解消

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 国土交通省は6月27日、有識者検討会がまとめた17~20年の4カ年における「総合物流施策大綱(大綱)」に向けた提言を発表した。有識者検討会は人工知能(AI)やIoT、ビッグデータなどの新技術の積極活用を提言。荷主と物流事業者の連携を促進したり、機能強化による効率化を実現したりすることで、生産性を向上して人手不足を解消する方針なども示された。提言を基に政府内で大綱案を検討。今夏をめどに閣議決定する予定だ。


 大綱は政府における物流施策や物流行政の指針を示し、関係省庁が連携して将来の総合的な取り組みを推進するもの。国土交通省は97年から大綱を策定しており、現行の第5次大綱は13年に策定し、17年を目標年次としている。
 次期大綱の策定に向けて2月16日、有識者検討会を開始し、6月15日までに7回開催した。同会の委員は物流企業や流通企業、マスコミ、大学教授など業界関係者27人で構成している。
 検討会でまとめた提言は大きく六つ(別表参照)。AIやIoT、ビッグデータなど最新技術を用いて物流革命を起こし、物流の生産性向上を図ることを求めている。

■サプライチェーン効率化

 荷主や物流業者など事業者間のシステムの共通化やRFID(電波を用いてRFタグのデータを非接触で読み書きするシステム)の普及による商品処理の迅速化など、サプライチェーン全体の効率化を促している。物流事業者間の連携・協働による無駄を省き、業務の円滑化を図る仕組み作りにも言及。
 サプライチェーンは国内にとどまらず、アジアを中心とした海外展開も見据えた仕組み作りを推進する。

■業界の透明性向上

 通販業界に関連するテーマとしては、物流業界の透明性を高め、必要なコストの見える化を図ることで、物流事業者が収益を確保できる環境を整備する。
 運賃と荷待ちや積み込みなどの付帯業務を区分し、適正な価格設定を行うべきとした。契約書面化の推進や多重下請け構造の是正を進めることで、法令を順守した適正な取引を徹底することも求めている。
 無駄を省くことで配送員の稼働率を高めたり、インフラ整備やコミュニケーションの強化により再配達を削減することも必要だとしている。女性や若者などが働きやすい環境を整えることが人材確保につながるとみている。
 
■物流インフラを高度化
 
 物流インフラを高度化・効率化していくため、道路・海上・航空・鉄道輸送に関するインフラや物流拠点の整備をハード・ソフト一体で進めるべきだという。国内外のシームレスな輸送を実現しることも求めている。
 災害などのリスクに対応した物流システムの構築も必要としている。
 自動運転やドローン輸送などの導入を進めることも提案している。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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