東京都/行政指導件数が3年ぶり100件割れ/行政処分は11件で2年前の水準に

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不適正な取引を行う事業者の処分・指導実績(件数)

不適正な取引を行う事業者の処分・指導実績(件数)

 東京都は、16年度(16年4月―17年3月)の特定商取引法や都消費生活条例に基づく行政指導の件数が98件、立入調査が24件だったと発表した。都が5月23日に開催した「第24次東京都消費生活対策審議会第4回総会」で明らかにした。行政指導件数は13年度から100件を超えていたが3期ぶりに100件を割った。

 16年度は、行政処分が11件。その内訳は、訪問販売が8件(住宅設備関連が3件)、連鎖販売取引が1件、電話勧誘販売が1件、エステ関連が1件だった。ただ、16年12月に実施した処分は、Co2排出権金融取引の訪問販売で、同一の経営者による4社が処分されている。
 行政処分の11件は昨年同様の低い水準。処分件数が減少している理由について取引指導課特別機動調査担当課長の高綱哲之氏は「悪質事業者はますます複雑・巧妙化しており事案の調査に時間がかかる例が多く、翌年度送りとなった案件もある」と話す。
 都民を対象に、悪質事業者や新たな手口などの情報を受ける「悪質事業者情報サイト」において、16年度は325件の通報を受理。そのうち、8件が行政処分や行政指導となった。
 近県と連携を図る「五都県悪質事業者対策会議」により、他県と連携した合同の立ち入り調査は3件、合同指導は17件実施した。さらに、消費者庁との連携による合同調査が2件、事業者名を含む情報提供は2件実施した。
 17年度(17年4―18年3月)は、特別機動調査班6班体制で、行政処分や行政指導を実施している。特商法以外の利殖商法などの金融取引について消費者安全法の運用も含め、調査、指導を実施する考え。5都県の広域連携も強化すると同時に、警視庁や国、他の法令を所管する関係機関や適確消費者団体とも連携を強める。

■不当表示は336件に

 通販広告などのインターネット上の不当表示については、366件の改善指導を実施。17年度は、重点テーマを設定し、ネットの不当広告について引き続き監視を継続する。また、毎月2万4000件抽出してネット広告を調査、指導する考えだ。

■相談体制、法令研修も充実

 消費生活相談体制も充実させる。11部門の専門グループで構成する消費生活総合センターを中心に、土曜日の相談、外国語相談、区市町村と連携した特別相談を実施する。相談員に対して、高度な専門研修を実施するほか、民間のADR機関との情報交換、弁護士の消費生活相談アドバイザーを活用することで複雑で、高度な案件に対応できるようにする。
 通販や訪販企業のコンプライアンス意識を高める目的で、16年度に3回実施した「コンプライアンス講習会」を継続する。16年度に訪販企業向けに実施した法令意識の調査結果を踏まえ、コンテンツを充実させる方針だ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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