ハラルビジネスに注目集まる/相互認証団体増加など市場拡大の兆し

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 世界人口の約4分の1となる約19億人と言われるイスラム教徒。彼らに向けて商品やサービスを展開する「ハラルビジネス」に多くの日本企業が挑戦している。日本に近い東南アジア諸国のイスラム教徒の多いエリアでは国民の所得が年々向上。購買力の高まりとともに、健康・長寿のイメージが強い日本製品の注目も高まっている。イスラム法で合法とされたものを証明する「ハラル認証」では、マレーシアの公的認証機関との日本の相互認証団体が大幅に追加された。訪日観光客の人口も増加しており、お土産を購入した顧客に対する越境ECの機運も高まっている。


■強い購買力が続くエリア

 約19億人のイスラム教徒のうち、最も人口が多い国はインドネシアの2億1000万人、次いでパキスタンとインドの2億人弱、バングラデシュの1億5000万人が続く。比較的日本に近いアジア各国にイスラム教徒の人口が多い。
 近年、特に東南アジア諸国の所得が拡大しており、インドネシアとマレーシアに向けたビジネス展開に注目が集まっている。農林水産省の「平成28年度輸出戦略実行事業 マレーシアにおけるハラール食品市場調査報告書」(委託先アクセンチュア)によると、可処分所得で階層を分類した富裕層と中間層の合計は、マレーシアが15年に91.0%で、30年には98.8%になる予想。インドネシアは15年の61.7%から30年には94.3%になるとの予想が出ている=別表。
 また、両国とも労働力人口が多く、消費市場が続くと見込まれ、この点もビジネス展開する上で魅力となっている。日本の平均年齢は45歳を超え、年々上昇している中、15年におけるマレーシアは28.5歳、インドネシアは27.8歳と若い。総人口に占める生産年齢(15歳以上65歳未満)の人口比率の上昇、もしくは絶対的に多い時期(人口ボーナス期)はマレーシア2045年まで、インドネシア2025年までは続くといわれる。

■健食・化粧品にチャンスか

 こうした将来性のある市場への進出をさまざまな企業が目指している。ハラルビジネス進出を支援する(一社)ハラル・ビジネス協会(事務局東京都、佐久間朋宏代表理事)によると、これまではスピーディーに動ける中小企業の挑戦が多かったが、今後は日本のナショナルブランドともいえる大手食品メーカーらの本格進出が進む兆しがあるという。

(続きは、「日本流通産業新聞」5月18日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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