カジュアルギフト市場が拡大/EC利用で需要増ユーザーの獲得競争が激化

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大手企業もカジュアルギフト市場に参入している(NTTドコモが運営する「ギフトコ」)

大手企業もカジュアルギフト市場に参入している(NTTドコモが運営する「ギフトコ」)

 職場の同僚や友人に対して、簡単な贈り物をするカジュアルギフト市場が拡大している。30代女性を中心に日頃の感謝の気持ちを手軽に伝えるため、ECを利用してカジュアルギフト用の商品を購入する需要が高まっている。土産物の通販事業を手掛けるレッドホースコーポレーションのグループ会社は4月、カジュアルギフトEC市場に本格参入した。NTTドコモはすでに15年12月、市場に参入している。ギフト向け商品を販売する企業は共通ポイントをユーザーに付与したり、SNSを活用して手軽にギフトが贈れるサービスを構築するなど、ユーザーの獲得競争が激化している。

■3年で3300億円増加

 矢野経済研究所(本社東京都、水越孝社長)の予測によると、17年のカジュアルギフト市場規模は、16年比で0.5%増の8兆2700億円に拡大するとしている。調査を始めた14年から伸び続けており、3年間で約3300億円拡大する見込みだ。
 カジュアルギフトは季節を問わず、職場の同僚や知人、家族に対し、手軽にプレゼントを渡せるのが特徴。相手に感謝や喜び、謝罪の気持ちを伝える際に、言葉だけでは物足りず何か一品を付け加えたいという需要から生まれた。プレゼントの価格帯は100~3000円と幅広くリーズナブルな価格に位置付けられている。
 中元や歳暮、結婚式などといった冠婚葬祭のようなフォーマルなイベントで贈呈するギフトと異なり、特定の定番品があるわけではない。自分が良いと感じた商品を自由に選べるのも特徴だ。カジュアルギフトサービスは男性より女性が利用する機会が多いことから、SNS映えするような商品や小型の日用雑貨、スイーツに人気が集まっている。

■数年で売上100億円

 カジュアルギフト市場の拡大を受け、レッドホースプルート(本社東京都、金田雅人社長)は4月19日、カジュアルギフト専門のECサイト「PRELY(プレリィ)」を開設した。18年12月期までにカジュアルギフトのEC市場でトップシェアを狙うとともに、数年以内に100億円以上の売上高を目指す。
 「プレリィ」はホームパーティーや女子会などでプレゼントを贈る機会が多い、20~40代の女性をメインターゲットにしている。サイトで取り扱う商品の中心価格帯は2000~3000円。手渡しできるサイズで、見た目やパッケージがSNS映えしやすい商品を中心に選定している。
 プレゼント選びという、贈り物をする際の悩みに対応するため、ユーザーが贈る相手の性別や趣向、キーワードを選択すると、お薦めの商品を表示する機能をECサイトに備えた。
 同社がプレゼントを選ぶ際の悩みを調査したところ、「何をあげたらいいか分からない」という回答が9割に達したという。SNSの口コミや独自の調査データを基に商品を推薦することで、サイト利用者が商品を選びやすくしている。
 ECサイトの上部には「#遅れてごめんね」や「#母の日」などのキーワードを掲載した。ユーザーは気になったキーワードから商品を絞り込むことができる。
 住所が分からない相手に対して商品を贈ることも可能。相手のSNSに専用URLを送り、住所を入力してもらうことで商品の配送手続きが完了する仕組みにしている。
 「プレリィ」は主に女子会やホームパーティー、知人への手土産といった需要を想定している。一方、カジュアルギフトECで先行している企業は、職場や家庭といった、より日常的な場面で気軽に渡せるギフトを想定したサービスを提供している。店頭で商品と引き換えが可能な、電子チケットやギフトカードを手軽にオンライン上で贈ることができる。
 ギフティ(本社東京都、太田陸社長)が11年3月に開設したカジュアルギフトのECサイト「giftee(ギフティ)」は、SNS経由で商品を贈ることができるソーシャルギフトECで最愛規模を誇っている。
 会員数は17年3月末時点で約70万人。ユーザー層は女性が7割で、世代別に見ると30代が最も多い。
 プレゼントを贈りたいユーザーはまず、ECサイト上で商品のデジタルギフトを購入する。購入後に贈りたい相手のLINEやメール、フェイスブックやツイッター宛てに、ギフト受け取り用のURLを送る。

(続きは、「日本流通産業新聞」5月18日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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