物議醸す会員組織「デュブリ」/日本企業ストアインまだなく/コンベンション開催も言及なし

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野萩裕弘GM(左から2番目)とマイケル・ハンセン(同右)

野萩裕弘GM(左から2番目)とマイケル・ハンセン(同右)

 16年末から、本格始動するとされていたキャッシュバックショッピングサイト「DubLi(デュブリ)」が、物議を醸し続けている。米国のOminto(オミント、本社米国フロリダ州、マイケル・ハンセンCEO)と、その子会社らが運営する「デュブリ」は、ネットワークビジネス(NB)形式で組織を広げているが、同組織については、「法定書面がない」など、法令順守・運営体制に関する多くの問題点が業界内では指摘されてきた。デュブリは4月23日に会員向けイベントを開催したが、サービスの根幹をなすはずのキャッシュバックショッピングサイトの整備については、何もアナウンスされることがなかった。健全な運営体制とは程遠い状況だ。


■法令順守・運営体制の健全化進むとはいえず

 デュブリは、会員制のキャッシュバックショッピングサイト。会員になると大手を含めたECサイトで商品を購入した際にキャッシュバックを受けられるようになるなどとうたい、会員を集める代理店(ビジネス会員)を、NB方式で募集している。登録料として6万~28万円を支払ったビジネス会員は、紹介者数に応じた報酬を受け取ることが出来るという。
 「サイト『デュブリ』には、日本の大手ECサイトも掲載される予定」(同社)というのが最大の売りだった。ただ、日本企業はいつまでたっても掲載されない。会員からは「肝心のショッピングがいつまでたってもできない」と言う不満だけでなく、「解約に応じてもらえない」「法定書面がない」といった苦情も上がっており、運営体制や法令順守の体制について、さまざまな問題点が指摘されていた。
 本紙では、16年12月に日本法人が設立されたことや、日本GMに17年3月、野萩裕弘氏が就任したことも取材によりキャッチしている。新体制の下、デュブリの健全化は進んだのだろうか。
 デュブリは4月23日、都内でコンベンションを開催。会場にはビジネス会員ら約500人が集まった。イベントは5時間にも及んだが、最大の関心事の一つであるはずの、キャッシュバックショッピングサイトへの日本企業のストアイン(提携する日本企業のECサイトなどで買い物ができるようになること)に関する発表はなかった。同イベントでは、日本法人を設立したことも報告せず、法定書面の整備に関する発表も行わなかった。新たに就任したはずの野萩GMに至ってはスピーナすらしなかった。
 イベントでは、オミントが3月21日にナスダックのキャピタルマーケットに上場したことをしきりに強調、その上で、会員らに自社株の購入を呼び掛けた。ただ、キャピタルマーケットとは、3つの上場区分に分かれているナスダック市場の一つで、金融に詳しい識者によると「キャピタルマーケットは比較的上場しやすいランクの区分」「いわば、ナスダック市場で一番ランクの低い区分」なのだという。
 デュブリは2月12日にも都内で「グランドオープンイベント」を開催、その際は約1000人が集まっていた。その時点では、「3月中にはストアインする予定」などと見通しを示していたが、今回のイベントで進展が報告されることはなかった。

■ストアイン時期について言葉濁す

 本紙は1月25日までに、デュブリやオミントに対して、問い合わせフォームやメール、ファクス送信など複数の方法をもって、質問状を送付していた。問いかけたのは、「日本で出回っている申込書などを見る限り、『DubLi』に関連する書面は要件を満たしていない。日本で事業展開を行う上で、コンプライアンスについてはどのように考えているのか」など、法令順守の考え方や、組織の運営体制などに関する計10項目の質問。ただ、4月25日現在デュブリ側から書面による正式な回答は届いていない。
 本紙では、質問状への対応状況などについて日本法人であるデュブリジャパン(本社東京都、野萩裕弘GM)に電話取材を試みた。取材には野萩GMが対応した。
 日本企業のストアインが一向に進まない現状について野萩GMは、「16年12月には一度、一部の日本企業がストアインした。ただ、ストアインした企業に対し悪意ある問い合わせなどが相次ぎ、もめごとなども起き掲載を取り下げた」と説明。「現在、日本企業と提携の交渉をしている」(同)とした。今後の見通しについても、「詳細は明かせないが、5~6月頃にはストアインできると思う。キーとなる企業と交渉中で……」(同)などと言葉を濁した。法定書面については「すでに用意しており、勧誘時にはきちんと交付している」(同)と説明している。
 野萩GMは「質問状については把握しているが、ナスダック上場の準備などで対応ができておらず……」などと質問状について回答を寄せなかった理由について話した。
 デュブリはさまざまな問題に対し怠慢ともいえる対応を繰り返してきた。その場しのぎの不誠実な説明に終始するのではなく、会員に対しても、業界に対しても、もっと真摯(しんし)に向き合うべきだろう。

4月23日のイベントのようす

4月23日のイベントのようす

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