ヤマト運輸/大口荷主と交渉開始/4月下旬にも抜本策を発表

東京・銀座にあるヤマト運輸の本社ビル

 ヤマト運輸の宅急便をめぐる報道が過熱している。Eコマースの急速な拡大と人手不足を背景に、宅急便の(1)基本料金を値上げする(2)時間帯指定配達を見直す(3)料金値上げを容認しない企業の荷物は運ばないーーーなどといった、通販事業者にとって気になる情報が相次いでいる。しかし、当のヤマト運輸は3月7日付で「本日の報道について」と題したコメントを発表しているだけだ。

■SDの労働条件改善

 ヤマト運輸が正式に発表したのは「弊社は現在、宅急便サービスを維持、継続するための経営基盤強化策、社員の労働環境の再整備、『宅急便』をはじめとする各配送サービスの機能および品質の向上を目指し、運賃体系やサービス内容について総合的な見直しを検討しております。お客さまにはご心配をおかけしますが、内容が決まり次第、随時お知らせいたします」とのコメントだ。
 実際、ヤマト運輸も宅急便について「さまざまな検討を行っているのは事実。だが、われわれとしては事実だと思っていないことも報道されている」(広報戦略部)と話している。ヤマトによれば3~4月にかけて方向性を定め、4月下旬にも抜本的な考えを表明するとしている。
 宅急便の方向性を決定する上で絶対的な条件となるのが、セールスドライバー(SD)の労働条件を改善することだ。ヤマト運輸は2月1日付で組織改正を行い、「働き方改革室」を新設している。本社内の各部署を統括し、適正な労働時間管理が行えるような環境整備や長時間労働の対策を講じて、社員の新しい働き方を構築するのが目的だ。

■時間帯指定は見直しか

 SDの労働環境を主眼としたサービスの改善という捉え方をすれば、一部で報道されているような時間帯指定配達の見直しは着手せざるを得ないだろう。宅急便の時間帯指定配達はサービス開始以来、午前中、12時~20時が2時間刻み、20~21時の6時間帯となっている。
 しかし、12時から14時の時間帯はSDが休憩や昼食をとるのもままならない状況となっているほか、20~21時の配達を指定する比率が近年上昇しているのだ。このことが長時間労働の一因となっている。

■3PLに交渉打診

 さらに宅急便のサービスを維持する上で避けて通れないのが、大口荷主に対する相対交渉だ。宅急便は90年以来、基準運賃表(タリフ)を変えていない。消費税増税の際にはその分を上げているが、タリフ自体は変更していない。
 宅急便のタリフはもともとCtoCを中心に設定しており、法人向けの料金設定はタリフを基に出荷量に応じて割引率を決定している。タリフ自体の値上げ報道も出ているが、そうなると個人や小口荷主の料金にも影響してくる。
 やはり大口荷主に対する条件交渉は実施せざるを得ない。ヤマトの大口顧客はアマゾンと目されているが、アマゾンジャパンはヤマトからの交渉について「ノーコメント」(広報担当)としている。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月16日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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