家電EC/"脱安売り"志向へ/人手不足や低リピート率が背景

 家電EC企業が安売り競争を避け、利益率の改善を志向している。アイ・アンド・ティーはロボットを活用して、利益率の高い価格に自動調整できる施策を実施。ディーライズはモール店の販促を強化し、安売り競争の激しい価格比較サイト経由の売上比率を引き下げている。MOA(モア)はプライベートブランド(PB=自主企画)商品の販売に注力することで利益を確保している。薄利多売の事業モデルを継続することによって「現場が疲弊している」と考える企業や、リピート率を高めるために価格比較サイト以外から集客したいと考えている企業が増えているためだ。


■価格.comの収益悪化
 価格比較サイトで最安値を掲載し、ECサイトへの集客を図る家電EC企業は減少しているようだ。
 カカクコムは2月2日、業績の下方修正を発表した。17年3月期における売上高の通期計画を480億円から450億円に修正した。
 計画を見直したのは、価格比較サイト「価格com」におけるショッピング事業の減収が要因だ。当初の想定よりもパソコンや液晶テレビなどの出品数が減少したことにより、EC企業からの手数料収入も減少している。
 16年10―12月期(純第3四半期)におけるショッピング事業の売上高は前年同期比5.9%減の23億6600万円、広告事業の売上高は同13.3%減の11億9400万円だった。
 国内における家電市場が縮小傾向にあることも影響しているようだが、「価格比較サイトの優位性が以前より薄れている」と指摘するEC事業者は多い。リピーターの獲得を目指す家電EC企業は、「価格比較サイト依存からの脱却」を掲げた集客手法を模索している。

■背景に人手不足

 パソコン周辺機器が主力商材のECサイト「ECJOY!」を運営するアイ・アンド・ティーの17年1月期における営業利益は、前期比60%増の8000万円に改善した。販売価格を意図的に引き上げて、利益率を高めたことが要因だ。価格を上げたことにより売上高は同12.5%減の60億円になったが、計画的な減収だったという。
 利益率が高い家電以外の取扱商品を増やしており、現在は200万品目以上を販売している。ここ数年で成長しているカテゴリーは、雑貨や酒類、医薬品だ。雑貨の仕入れ値は40円ほどの商品が多く、100円均一コーナーで販売。酒類と医薬品の販売は免許が必要で、競合が少ないことから取り扱いを決めた。
 商品数が多いため自社開発したロボットを導入し、自動で価格設定を行っている。利益率の改善に取り組むようになってから、ロボットはあらかじめ設定した利益率を確保できるように価格を自動更新している。
 同社は従来、ロボットを利用して利益が出るギリギリの価格で販売していた。価格比較サイトの順位を高め、安売り競争の中で成長してきた企業だ。年商70億円を記録した14年ごろは、ほとんどの家電の最低利益額を50円に設定していたという。現在は、利益を確保するためのシステムとしてロボットに期待している。

(続きは、「日本流通産業新聞」3月16日号で)

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