東京都高齢者相談件数/17年度上半期相談は5.0%減/「通販」の相談は増加傾向に

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 東京都はこのほど、16年度上半期(16年4―9月)の都内の消費生活センターに寄せられた60歳以上の高齢者の相談概要をまとめた。相談件数は前年の同じ時期と比べ5.0%減の1万8374件で、3期連続の減収となった。全世代の相談のうち、高齢者の占める割合は前年同期比0.3%増の30.3%と高い水準を維持している。とくに、80歳以上の割合は24.2%で増加傾向にある。全体の相談件数が3期連続で減少した理由について、都では高齢者に対する集中電話相談や地域の見守り活動、迷惑電話防止機能付き電話機などの導入により、被害拡大防止に一定の成果が出ていると分析。一方で「一人暮らしの高齢者の相談など潜在的な相談も存在する」(浅倉美文相談課長)と件数だけでは把握しきれないケースもあるという。


 販売形態別では、「通信販売」が増加傾向にある。相談全体で前年同期比0.8%増の35.4%となり、高齢者全体では同2.9%増の28.6%だった。年代別では60代が同3.3%増の38.8%、70代は同2.5%増の25.6%、80代以上では同2.8%増の15.6%と増加傾向にある。
 「訪問販売」の割合は相談全体で前年同期比0.1%増の7.9%。高齢者全体では横ばいの12.9%を占める。60代では同0.3%増の7.5%、70代では同0.4%増の13.0%、80代以上では同1.8%減の21.8%だった。
 宣伝講習販売とみられる「SF商法」の相談件数は3件減の40件で、「健康食品」に関する相談が目立つという。
 商品・役務別では、「デジタルコンテンツ」「アダルト情報サイト」など架空請求などに続き、住宅リフォームなどの「住宅・建築」が3位で前年同期比61件減の804件だった。
 高齢者に関心の高い「健康食品」は、同30件増の475件となった。内訳は、「通信販売」が228件で最も多く、「電話勧誘販売」が105件、「訪問販売」が27件。スマホの普及に伴い「インターネット通販」が、同243件増の3582件と大幅に増えている。ただこの数値の中には、「デジタルコンテンツ」「アダルト情報サイト」なども含まれており、実態を推し量るのは難しい。
 高齢者は在宅率の高いことから、新聞広告やテレビ通販などの媒体に接する機会が多いことに加え、健康食品などに関心の高い世代ということも増加要因に挙げる。また、健康食品の定期購入に関する契約トラブルについて、スマホからの契約によるトラブルも増えているという。健康食品について「返品や返金、試してみたら体に合わないとった相談も目立っている」(浅倉氏)と話す。
 契約購入金額別の割合を、相談全体と高齢者全体および各年代で比較すると、相談全体では 100万円以上の相談の割合は11.5%だが、80代以上では18.9%と2割近くを占める。とくに「1000万円以上」の相談は、相談全体の2.6%と比べて、70代が4.8%、80代以上が4.7%と割合が大きい。
 「判断不十分者契約」は、前年同期比8.4%減となっているものの、年齢が上がるにつれて、契約者本人以外の相談も増える傾向にある。スマホを利用できる高齢者も増えており、商品やサービスの情報を容易に入手できるようになった。通販、訪販の企業は、高齢者への契約に対する十分な配慮に加え、契約者本人以外の家族への対応もいっそう求められそうだ。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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