RIZAPグループの事業戦略/今期売上1000億円に自信/既存事業の成長継続やシナジーに手応え

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RIZAPグループ売上推移と構成比

RIZAPグループ売上推移と構成比

 RIZAP(ライザップ)グループは今期(17年3月期)、売上高を前期比80.3%増の1000億円にまで拡大する計画だ。前期(16年3月期)の増収率は41.8%。今期は成長を加速し、増収率を約2倍に伸ばすという。途方もない計画に見えるが、瀬戸健社長は決算説明会で「たらればで言っているのではない。現状の数値を基に計上した予算だ」と自信をにじませる。パーソナルトレーニングジム「RIZAP」の収益性が向上しているだけでなく、通販事業も新商品の投下などでさらなる成長を実現。既存事業とM&Aで加えた新規事業とのシナジー創出にも確かな手応えを得ているという。


■通販売上比率は4割程

 RIZAPグループは健康食品の通販から事業を開始した。現在では売上高全体の4割程度まで通販売上比率は低下している(左図参照)。同社の成長をけん引しているのはパーソナルトレーニングジム「RIZAP」などの新規事業や買収した通販以外の事業会社だ。
 瀬戸社長は「RIZAP」事業の収益性を今後さらに伸ばすことができると考えている。「前期にRIZAPのビジネスモデルが転換したことがさらに収益力を高めた」(瀬戸社長)と話す。
 「RIZAP」の現在のリピート率(新規顧客が初回プログラム終了後も利用する比率)は15年4~9月の平均値よりも1.3倍になった。その結果、前期末の「顧客の1年後継続率(入会から1年後も通い続ける比率)」は期初の1.5倍に伸びているという。
 瀬戸社長は顧客満足度の向上がリピート率の改善につながっているとみている。
 「昨年の週刊誌の報道により新規顧客が激減した。そこで原点に返り顧客満足度を高めるためにスタッフもサービスの改善に取り組んだ。継続利用を促進するプログラムも開発した」(同)と話す。
 リピート率の向上は紹介客の増加にも寄与した。
 前期の新規顧客に占める紹介客比率は前々期よりも3倍増になったという。「広告宣伝に頼らない事業展開が可能になった」(同)と言う。
 1店舗当たりの収益性が高まっていることから、新規出店の促進や、さらなるサービス改善にも拍車を掛ける。海外での店舗展開も今期は本格化する計画だ。


■通販事業も再成長へ

 前期は思うように伸ばすことができなかった通販事業の売上高も今期は伸ばす計画だ。前期は美容・健康関連の通販事業やマタニティーECのエンジェリーベなどは増収だったが、アパレルECの夢展望の16年3月期売上高が前期比31%減の36億6900万円と足を引っ張った。
 今期は夢展望の売り上げ減少に歯止めをかけるのに加え、その他の通販事業を成長させる計画だ。特にRIZAPブランドを活用して開発した商品の通販展開に期待を寄せている。
 「ダイエットのためのEMSベルト『RIZAPグローバルエクサ』はTBSテレビの通販番組『グランマルシェ』でトップの売り上げになった」(同)と話す。
 通販ではないがコンビニエンスストやスーパーで販売した低糖質菓子「コミットスイーツ」も想定の3倍を超える売り上げを記録したという。「RIZAPブランドの商品展開が市場から受け入れられている」(同)と見ている。


(続きは、「日本流通産業新聞」7月28日号で)

RIZAPグループ主要子会社の事業ドメイン

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