【EC売り方研究所】父の日ギフト商戦/男性向け商材の女性への提案に工夫も

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 今年は6月19日に迎えた「父の日」。「父の日」需要を捉えて売り上げを伸ばしたショップの、今年の結果と要因を調べたところ、同じ商材を扱うショップでも、新規顧客取り込みに対する積極性に大きな違いがあることが分かった。男性向け商材を女性に訴求する工夫にも、人気ショップは力を入れていた。


■新規率に大きな差

 「父の日」商戦で例年人気を集めるのが、酒やウナギ、甚平といった、男性向けで、夏に需要が伸びる商材だ。今年の楽天市場のランキングでも、上位にウナギが2ショップ、ビールと焼酎がそれぞれ1ショップ登場した。
 「父の日」商戦の人気ショップの間で大きな差が見られたのが、購入者に占める新規ユーザーの割合だ。
 「うなぎ屋かわすい」を運営する川口水産(本社和歌山県)で父の日ギフトを購入したユーザーのうち、新規は約6割だった。一方で、うなぎのたなか(本社静岡県)の場合は「ほとんどが過去に買ってもらったお客さんによる注文」(田中悦子店長)だった。どちらのショップも10年以上、楽天市場のウナギジャンルで人気を集めてきた名店だ。
 両ショップによると、ウナギの価格が近年上がっていることもあり、「ハレの日」の食材としてウナギの人気は高まっているという。
 「うなぎ屋かわすい」では通常、自宅用の購入者で6~7割を占める。現在は、ギフト向け販売を強化するため、ギフト包装の説明を充実させるなど、さまざまな取り組みを行っているという。
 同ショップは、父の日に合わせて積極的に広告を出稿し新規顧客を獲得、父の日ギフトだけで1億4000万円を売り上げた。6月の売り上げは年間の20%を占め、「土用の丑の日」を含めた7月の売り上げに匹敵するという。
 「うなぎのたなか」の場合は、年間通じてギフト用の購入が大半を占める。風呂敷や化粧箱に入れて届けるサービスが好評だ。
 今シーズン、父の日専用ページから注文された、風呂敷入りのウナギは1万4000個だった。価格は5980~1万6800円。広告出稿などはあまり行わず、メルマガ等から既存ユーザーの注文を集めた。同社では「国産」と「味」にこだわっているが、原価が上昇しても、できるだけ価格に反映させない方針を貫いている。そのため、広告宣伝費に大きな金額を割いていないのだという。
 それでも多くの購入者を集めることができるのは、「お店の味に固定のお客さまがついている」(田中悦子店長)からだ。「ギフトを受け取った方からも、店名を見て問い合わせを頂くことが多い」(同)と言う。
 7月30日には、一大イベント「土用の丑」が控えている。人気のウナギ販売店は2社とも早速、「土用の丑」専用ページを設置して集客に取り組んでいる。


(続きは、「日本ネット経済新聞」7月7日号で)

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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