【EC注目株!】第36回〈シュッピン〉 創業者・鈴木社長の”拘り”で業績は好調推移/右肩上がりの株価動向、中期構えで臨む価値十分

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千葉 明氏

千葉 明氏

好きこそものの上手、と言う。しかし40余年にわたり企業経営者と接してきて、かくまで言い切る御仁に遭遇した記憶はない。
 カメラ・時計を中心に専門性の高い中古品・新品をネットと店舗で売り買いするシュッピン(3179)の創業社長の鈴木慶氏である。今期中間期決算説明会資料で、こう言い及んでいる。
 「私はシュッピンの事業が大好きです。すでに30年に渡り、中古品と向き合ってきました(注:鈴木氏は中古PCで知られるソフマップの創業者)。『私は拘りを持って作られた物が大好きです』。『大切にしてきた物を手放すとき! 手に入れるとき! 安心安全は絶対であるべきだと考えています』。ネットに軸足をおいた新しい中古ビジネスの時代が来ていると確信しています。『eコマースにおける中古品取引ナンバーワンになる』をスローガンに、インターネットの可能性を追求していく所存です。今後のシュッピンに、ぜひご期待ください」
 同社が取り扱っている商品(2014年3月期末、売上高ベース)は、「カメラ72・6%、時計23・3%、自転車2・1%、筆記具2・0%」。商品別にそれぞれ1店舗が設けられている。
 ちなみにEC売上高比率が50%を超えたのは13年3月期。各店舗のスタッフは、「カメラ店にはカメラの専門家が配置され、人事交流は皆無」状態。「鈴木さんの拘りが反映された店舗体制ですね。カメラ店の店員は文字通りカメラに通じきったプロ、マニアックなプロと言って差し支えないですね」という問いかけにIR担当者は、「ご推察通り」と返してきた。
 同社では取扱商品を「リサイクル」「リユース」と称さない。「リバリュー」と呼ぶ。ここにも鈴木氏の”拘り”を強く感じる。ビジネスの枠組みは、「中古品の買取・下取り」↑↓「中古品・新品の販売」の循環。買取価格はワンプライス。研ぎ澄まされた目を持つプロが存在して初めて成り立つ(顧客も納得する)枠組みといえる。
 そんな同社の株を投資とする場合、どう対峙するか。
 上場(2012年)来、期初計画を上回る収益動向を示している。前15年3月期も「14・3%増収(178億2800万円)、14・1%営業増益(8億円)、28%最終増益(4億9900万円)」計画を上回る着地(11日発表)となった。右肩上がりの株価動向を示している。
 1月6日の1299円から30日の1960円まで急伸し、時価は2割近い調整水準。中期構えで臨む価値十分とみる。


〈筆者プロフィール〉
千葉明(ちば・あきら)氏
 昭和24年(1949年)6月18日、群馬県前橋市生まれ。群馬県立前橋高等学校、明治大学政経学部卒業。1973年4月、日本短波放送(現日経ラジオ社)入社。1976年5月、経済評論家・亀岡大郎氏に師事。1982年6月、独立、(有)オフィスエーシー設立。そして自営のいまも、新聞・雑誌の原稿作成、書籍上梓、講演活動に従事。

記事は取材・執筆時の情報で、現在は異なる場合があります。

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